
歴史ある建物と四季の花演出が楽しめる街並(神戸市)
ランドスケープデザインと植物
私はランドスケープの計画・設計を専門にしています。これまで扱ってきた空間は、都市公園、里山林、マンションや学校の屋外空間、商業施設の演出植栽、戸建て住宅の庭など様々です。デザインの過程では、環境・景観・生活といった大きな視点から空間のあり方を検討し、具体的な地形や施設や植物などの設計に落としていきます。
中でもこの分野で重要な空間要素となるのが植物です。花や緑が嫌いな人はいない、と言われます。けれど街を歩けば、荒れてゴミの捨てられた花壇、いつまでも生育が悪く貧弱な並木、鬱蒼として薄暗い植栽地など、好ましく感じられない場所も見られるでしょう。緑の空間は人に潤いを与える一方で、ひとつ間違えば不快感や管理の負担感を増す大きな要因になることもあります。
デザインのテーマ
このような観点から、私がデザインの際に意識するテーマが二つあります。ひとつは「人と植物共に快適に過ごせる空間づくり」。場所に応じて、人の活動(使い方、楽しみ方、管理の仕方など)と植物の活動(生育、四季変化、経年変化など)を良くイメージし、両方に無理のない設計を目指します。花緑いっぱいの空間は魅力的ですが、量にとらわれず使い手の活動に応じた効果的な緑のあり方を探ることが課題です。
もう一つは「管理を含めた持続的な緑のデザイン」。通常は、設計→施工→管理という流れで空間づくりが進みますが、設計の時点で管理を考えておくことや、利用・管理のプロセスにもデザインの視点をもって関わることに努めています。例えば設計の際には、植栽地の位置・形状、植栽樹種と密度、散水施設や通路などの配置ひとつひとつがその後の管理に影響する重要な検討ポイントです。また、植物の管理計画や楽しみ方の提案、花の植替えや季節演出、イベント運営等に関わることで、空間の持続的な変化をサポートする。緑の空間の管理は単に維持をするものではなく、デザインの一部として長く楽しめるものにしたいと思います。
コンテナガーデンのデザイン演習
おわりに
授業では、身近な生活空間を彩る緑のデザインのひとつとしてコンテナガーデンの制作実習を行っています。コンテストに出す作品ではなく、長く生活の一部として楽しめる緑を提案します。さらに各自が管理を行うことで、ちょっとした環境や育て方の違いによって植物がいかに変化するかもよく分かります。
生き物である植物を適切に扱いながらデザインすることは奥深く、すべてケースバイケースです。多様な環境や景観や生活に応じた柔軟な提案を行うため、植物の多面的な知識と経験を重ね、多くの実践課題に取り組んでいきたいと思っています。
城水 麻衣子 SHIROMIZU MAIKO
1995年奈良女子大学家政学部卒、1998年九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了、1998年(株)ヘッズ計画・設計室、2002年(株)ヘッズ調査・計画室、2006年独立、2010年 兵庫県立淡路景観園芸学校景観園芸専門員。活用デザイン基礎演習(大学院1年前期、分担)、生活空間デザイン演習(大学院1年前期、分担)、景観活用デザイン演習(大学院1年後期、分担)、栽培演習(園芸療法課程、分担)他。

