
中瀬:では、座談会をはじめましょう。みなさんには2年間を振り返っていただこうと思います。よろしくお願いします。
全員:よろしくお願いします。
中瀬:では、まず最初に、キャンパス生活で特に印象的だったことは何ですか?
高橋:寮生活はやっぱり良いですね。
中瀬:そうですか。でも、2年間も寮で一緒だと、相手の性格もよくわかるんでしょうね?
兼村:その通りです、良くも悪くも家族付き合いみたいです。
全員:そうそう(笑)
高橋:いいところもそうでないところも全部みえるよね。
中瀬:そういった家族付き合いのような感覚は、半年経ったぐらいから芽生えるものですか?
全員:いや~もっと早かったような(笑)
兼村:昼はスタジオ、夜は寮といった生活で、昼夜問わず一緒にいるような感覚ですからね。
中瀬:そういった関係は普通の大学では築けないもので、本校の大きな特色といえますね。
全員:そうですね。
中瀬:それで、その寮生活で、印象に残っていることは何かありますか?
兼村:集会室で幾度となくみんなで食事会をしたのは、いい思い出ですね。
高橋:あ~そうだね。
崎須賀:ずっと生活を共にしているという点では。夜、スタジオに行けば、他にも頑張っている同期の学生がたくさんいるので、「ああ、私もがんばらなきゃな」っていつも励みになりました。
中瀬:励みにもなったし、刺激にもなったということですね。そういえば、研究科1期の学生は様々な出身学部から集まってきているんですよね?そのあたりは付き合いとしてどうでした?
高橋:植物の専門から来た人や、デザインの専門から来た人はじめ、いろんな出身の人と一緒に学べることはとてもおもしろいです。
永野:それに、出身の分野は違っても、みんな植物や造園に関連した関心をもって、この学校に来ているので、話が全く合わないってことはありません。
中瀬:なるほど。では、学部でそれぞれが学んできたことを、お互いに教え合うことはよくあるんですか?
兼村:そうですね、出身の学問分野が違うことで、ひとつのことに対してでも、考え方やアプローチの仕方が様々なので、それはとても刺激的だったし、新たな参考にもなりました。
中瀬:そうそう、それこそ、本研究科の狙いなんです。
全員:では、狙い通りってことですね(笑)
中瀬:ちなみに、みなさんの出身の学問分野は何ですか?
兼村:私は政策科学という学問分野で、平たく言えば、まちづくりです。
崎須賀:私は農学部で花卉の育種をやっていました。
永野:私は環境学で造園を扱っていました。
高橋:私は建築ですね。
中瀬:そういった意味では、違う分野から来たけれど、おもしろいメンバーですね。
高橋:そうですね、本当におもしろいですね。
中瀬:全部でどれくらいの学部に渡っているんですか?
高橋:主だったところは、建築、社会学、法学、経営…
崎須賀:美術の人もいるね。
永野:案外、農学部が少ないんだよね。
全員:そうそう。
中瀬:では、みなさんは農学以外の学問分野にいながら、なぜ本校を志望したんですか?
高橋:私は、建築系の学部の中に造園の講義があって、そこから関心を持つようになりました。この学校のことは、造園学の先生から紹介されて知りました。
兼村:私は、まちづくりについて学んでいたのですが、文系だったので内容が総論的でした。そこで、より専門的な技術を持って、まちづくりにアプローチしたいと思う中で、植物が好きだったので造園分野に進学しようと決めました。あと、キャンパス見学に来て、この環境に一目惚れしてしまいました(笑)。
崎須賀:私は、そのまま農学系に進学した感じなんですが、私もこのキャンパス環境に一目惚れしたのと、いろんな人がいるので視野を広げることができると考えて受験しました。
永野:学部時代は造園を浅く広く学んだ印象だったので、より深く学びたかったので受験しました。この学校のことは、大学で開催された学校紹介で知りました。
中瀬:そうだったんですね。ではここで、学校施設に話を戻しますが、寮のほかに、スタジオも本研究科の特色ですが、スタジオについてはいかがですか?
高橋:みんないるので、困ったらすぐ誰かにすぐ聞けたり、助けを呼べます(笑)
兼村:そうそう、いろんな分野の学生がいるので、大概のことはカバーし合えるんです。
高橋:聞けばなんとかなるっていうね(笑)
中瀬:そうやって切磋琢磨しているわけですね。スタジオの設備についてはどうですか?
高橋:施設が充実しているので、居心地も作業性もとても快適です。
永野:スタジオの設備は本当にすごいよね。
兼村:ブースも広いし、ソフトウェアも充実しています。
中瀬:そうなると、社会人になってからが苦労しそうですね(笑)。
崎須賀:本当にそうです。こんな贅沢な環境は他ではなかなかないと思います。
中瀬:では、講義や演習はどうでしたか?
兼村:講義では、専任教員の先生方の理論的な内容が充実していることはもちろん、兼任教員やインストラクターの先生(※1)からは、実際の現場の話も聞くことができました。そういった話は、文献やインターネットでは知ることのできない貴重な情報なので、とても参考になりました。
永野:あと、演習が数多くあるのも、大きな魅力でした。例えば、まちづくりの企画や活用計画など作成したものを、行政など実際の現場の方にプレゼンテーションする機会が多くあったのですが、現場の方からの反応や意見をいただいたことは、実務を学ぶ上で大きな糧となりました。
崎須賀:一部の演習では、二次林やガーデンなどの校内のフィールドがフル活用されます。その中で特に印象的なのが、樹木の管理作業の演習です。そこでは、この10年間、学校とともに成長してきた樹木を剪定したりするのですが、そういった時に「今まで先輩が引き継ぎながら手入れしてきたんだな~」と思うと感慨深いものがあります。
中瀬:それはたしかに歴史を感じますね。そういった学生による樹木の手入れというのは、どのように後輩に引き継がれているんですか?
兼村:演習で扱う樹木はだいたい決まっているので、それらの手入れは演習の中で引き継がれていきます。演習の他に学内の樹木を手入れする活動に、「剪定クラブ」という学生のクラブ活動があるんですが、そこでは、これまでの施工写真や施工記録などの資料が蓄積されていて、学生間できちんと引き継がれています。
中瀬:それはすばらしいことですね。演習といえばその他に、学校バスで様々なところへフィールド見学する演習がたくさんあったかと思いますが、それはいかがでしたか?
兼村:そうですね、豊岡、難波、丹波、箕面、京都をはじめとした各所で、公園、球場、庭園、公共緑化などさまざまな現場を見学できました。
高橋:ただ見るだけじゃなくて、作り手の視点や考え手の視点から見学できるので、とても勉強になりました。
永野:そういった現場見学は、「現場について講義で学んでから、実際に現場を訪れる」といった順序で実施されるので、講義内容の理解度がより深まりました。
崎須賀:あとは、造園技能士検定3級への挑戦(※2)がとても印象的でした。
全員:あ~あったな~。
崎須賀:道場と呼ばれる練習場が校内にあるんですが、真夏の暑い中、インストラクターの先生に教えてもらいながら、造園技能を繰り返し練習した経験を通して、造園の施工現場への理解が深まったと思います。それに、造園技能の基礎や、体力もついたと思います。
高橋:暑さへの忍耐力もね(笑)
中瀬:そうでしょうね(笑)。ところで、その技能士検定は、全員、合格したんですか?
全員:はい、合格しました。
永野:検定に挑戦したことで、造園技能だけでなく、道具の使い方や、施工時の態度など、そういったものも一緒に教えてもらえました。
高橋:道具の置き方から教わったものね…
永野:そうそう。
中瀬:なるほど。では、樹木や植物に関連して、他に何かありますか?
高橋:寮とキャンパスの往復で、毎日毎日、アルファガーデンの植物を見ることができるので、植物の季節ごとの変化に敏感に気付くようになりました。
永野:たしかに!一年目に授業では、アルファガーデンの植物を用いて植物の名前や特徴について教わるんですが、2年目になると、「そうだ、そろそろ○○の花が咲く頃だな~」と季節ごとに楽しみにしたりしながら、季節感や植物に関する知識が培われました。
中瀬:やっぱり本物の植物が近くにあるというのは、大きなメリットですね。
崎須賀:たしかにそうです。そのおかけで、それぞれの植物の見頃について、とても詳しくなりました。
中瀬:アルファガーデン(※3)といえば、一般の来訪者の方も多くお見えになられますが、そういった方々との交流はありましたか?
高橋:そうですね、結構ありましたね。
永野:よく質問をいただきますね、「いまどこがきれい?」とか(笑)。
崎須賀:来訪者の方には笑顔で挨拶をしようというのが学生間ではマナーとして定着しているんですが、そういったやり取りって、挨拶をきっかけにはじまることが多いんですよ。
兼村:たまにとてもマニアックな質問を受けた時はどぎまぎしますけどね(笑)。
中瀬:なるほど(笑)。ただ、そういった交流は、みなさんにとっても大きな刺激になっているわけですね。
崎須賀:そうですね、とても楽しいです。
中瀬:これも当初の狙い通りですね。本校のフィールドをオープンガーデンにしたからこその出来事ですからね。
全員:あ~なるほど。
永野:来訪者の方といえば、私の場合、分区園で畑作業をしているときに、後ろにギャラリーができていたことがありました(笑)。農家の方々だったようで、私の農作業を見て、「そこはそうじゃない!」と言って、直接教えていただいたりもしました。
中瀬:そんなこともあったんですね(笑)。では、次にアルファ祭やホームカミングデイについて、そのあたりの印象はどうですか?
高橋:アルファ祭は、いわば学園祭ですから、外部の方ともたくさん交流できて、とても楽しいです。
兼村:ホームカミングデイは今年はじめて行われたイベントなんですが、OB(※4)の方とお話することは、参考になることが多く聞けるし、励みにもなるので、今後、継続していってほしいものです。同窓会的な要素も含んでいるので、来年は迎える側ではなく、訪れる側として参加したいです。
中瀬:本校でのイベントといえば、学会やシンポジウムもこの2年間に多く開催されましたね?
兼村:本当にイベントが目白押しの2年間だったね。
崎須賀:そうだったね。
高橋:イベントやシンポジウムなどに参加できたことはもちろん、運営の裏方を経験できたことで、マネジメントの視点が養われました。
兼村:私は、本校が一昨年、ある学会の全国大会のホストとなった際、その運営の補助に携わったんですが、学会開催の裏側を知れた貴重な体験でした。それ以降、シンポジウムや学会の見方が少し変わりました(笑)。
高橋:そろそろマイクを…とか、運営する側の視点で見てしまうことがあるよね(笑)
崎須賀:私は、その学会の時に、本校の卒業生(※4)の方がパネラーとして活躍されている姿を拝見しました。その方とは直接お話もしたんですが、卒業生の方とのつながりを感じた出来事でした。
中瀬:昨年は本校を会場に、コミュニティーデザインに関する国際シンポジウムも開かれましたね。それはどうでした?
兼村:あれは特に刺激的でした。様々な国の研究者や学生の方々と、英語でディスカッションできたのはとても良い経験となりました。夜は、寮で学生が主体となってパーティーを開いたんですが、それも楽しい思い出になりました。
中瀬:たしかに、貴重な体験ですね。世界の最先端の研究を行っている国内外の先生方の講演も聴けましたね。そういった方々には滅多に会えませんしね。
兼村:そうですね。在学中にそういったものが開催されたことは、本当に幸運だったと思います。
中瀬:なんだかいい話ばかりが続いていますが(笑)、そのあたりで何か悔しかったことや、つらい経験はありませんでしたか?
兼村:そう多くはありませんが、自身の英語力不足は痛感しましたね…。
永野:そうそう。英語が至らない部分は、ボディーランゲージでどうにか埋め合わせたりしました(笑)。
中瀬:(笑)。そういった意味では、とても濃い2年間だったといえますね。
高橋:本当にそうですね、チャンスにはとても恵まれていました。
中瀬:国際交流の話がでましたが、そういえば海外からの客員教授の課外講義(※5)を受ける機会もありましたね?その点については何かありますか?
高橋:私は、台湾、スイス、ギリシャの先生の課外講義を受講しました。教育に対する考え方が、国によって日本とは大きく異なるので、それぞれの先生の課題の内容がとても新鮮だったのが印象的です。例えば、「自分の中のsustainableを形にして表現しなさい」とか…
永野:あ~それは確かにびっくりしたな~。
兼村:確かに、大変だった。
中瀬:そういった講義というのは参考になりましたか?
高橋:ええ、すごく良い勉強になりました。海外の最新の事例を紹介してもらえることも大きな魅力でした。
兼村:そうですね。普段考えないようなことを、じっくり考えた時間でした。
中瀬:なるほど。みなさんそのようなユニークな講義も受けられたということですね。では、インターンシップに話を移しますが、みなさんはどこかインターンシップに行かれましたか?
高橋:ここの4人は全員行きましたね。
中瀬:では、高橋さんから順に教えてもらえますか?
高橋:はい。私はデザイン事務所5社にてインターンシップさせていただきました。各社とも個性的で視野が広がりました。
永野:私はコンサルタント3社、あと内閣府主催のインターンシップに参加しました。内閣府のインターンシップは2か月に及ぶものでした。
兼村:それは長いな~(笑)
永野:インターンシップさせていただいた内の一社については、就職に直結しました。
中瀬:それはおめでとうございます。
崎須賀:私は呉服屋さんが所有している染色植物を中心とした庭園でインターンシップさせていただきました。私は植物園で働きたかったので、そこでの作業はとても参考になりました。
兼村:私は造園施工の現場を体験したかったので、造園施工会社にインターンシップをさせていただきました。庭の手入れ仕事や庭造りの現場に同行させていただきました。
中瀬:みなさんすごいですね。そういった経験は、今後の職場でも活かされる貴重な経験ですね。では、次に課外活動について伺いたいと思います。高橋さんは病院の移築に際したワークショップに参加されたんですね?
高橋:そうですね。ワークショップを経て、計画が実際に形になるまでを見ることができたのはとても良い経験となりました。
永野:私は地元徳島での、徳島活性化コンテストに参加しました。参加したことは、実際のまちづくりの現場を知ることや人脈づくりにとても役立ちました。また、活動を通して、自分の課題も明らかになりました。
中瀬:崎須賀さんは、アルファガーデンガイドマップを作成されたんですよね?
崎須賀:そうです。先生方と協力して、月ごとのアルファガーデンの見頃の植物を一枚の紙にまとめたガイドマップを作成しました。現在、校内各所にて無料で配布しています。作成を通じて、見頃の植物を探す力や、どんな植物をみなさんが見たがっているというニーズを汲み取る力がついたと思います。
兼村:そのガイドマップ、すごく好評らしくて、増刷を重ねているって聞いたよ。
崎須賀:本当に!?それは嬉しいなあ。
中瀬:それはすごいですね。兼村さんは広場の改修を行ったんですね?
兼村:そうです、島内のある広場の改修の計画と施工をやらせていただきました。施工の計画から、段取り、施工までを一貫して行えたことでとても勉強になりました。また、改修は地元の方々と協働して行ったので、そのような交流も貴重な体験でした。
中瀬:では、研究については、みなさんどのようなことを行ってらっしゃるのですか?
兼村:はい、私は、造園樹木研究室で、「サクラの剪定に対する反応」を研究し、有名な言い伝え「サクラ伐る馬鹿」の真偽を検証しています。
崎須賀:私は、観賞園芸研究室で、雑誌やカタログなどの文献調査から、山野草についての認識を研究しています。
永野:私は、ランドスケープエンジニアリング研究室で、住宅街での鳴く虫の分布と緑地の関係について研究していて、鳴く虫の観点からみた新しい緑地の価値観を創出して、今後の都市の緑地計画に活かしたいと考えています。
高橋:私は、花と緑のまちづくり研究室で、障がいをもった人と緑地を活用したプログラムを実施して、それをベースにして緑地環境を活用した障がい者の就労支援について研究しています。
中瀬:みなさん、興味深い研究テーマですね。研究(実践演習)の最終発表会は2月22日ですから、みなさん、これからが佳境ですね。
兼村:そうですね、みんなスタジオにこもってがんばっています。最終発表会は一般の方にもご参加いただけるものですので、たくさんの方に来ていただけると嬉しいです。
崎須賀:それに、受験を志望されている方にとっては、学校の雰囲気や研究内容などが直接知ることができる良い機会だと思います。
中瀬:そうですね、たくさんの方々にお越しいただきたいですね。それでは、このあたりで座談会を終えたいと思います。みなさんの発表を楽しみにしています。そして、今後のご活躍を期待しています。今日はどうもありがとうございました。
全員:ありがとうございました。
※注
※1…インストラクターは、厳密には本研究科ではなく、兵庫県立淡路景観園芸学校の所属である。
※2…造園技能士検定の受験は開講科目の内容ではなく、自主的な課外学習活動のひとつである。
※3…アルファガーデンとは、兵庫県立淡路景観園芸学校構内にあるオープンガーデンの通称である。
※4…兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科は、兵庫県立淡路景観園芸学校専門課程を発展型として、2009年度より設立されたものである。専門課程は1999年度から2009年度にかけて開講されました。ここでいう卒業生、OBとはいずれも専門課程卒業生のことさす。
※5…海外客員教授の講義は兵庫県立淡路景観園芸学校専門課程の開講科目であり、本研究科の限りではない。
本研究科の特色である濃い寮生活やスタジオでの学習、緑豊かなキャンパスライフ、多彩なインターンシップの経験、興味深い授業、バラエティに富んだ国際会議やイベント、研究内容等について語り合いました。
学生さん達は、盛り沢山のスケージュールを楽しみ、その過程で多くの方々と出会い、実りある成果を十分に身につけていることを実感しました。文系、理系、様々なバックグラウンドを持った学生達が、本研究科キャンパス、淡路島、そして兵庫県を舞台にして、切磋琢磨しながら成長してきた2年間の壮大で挑戦的なドラマのようです。
本研究科で、当初から意図した内容以上の展開がなされたようです。関係する市民、NPO、団体、企業、行政等、多くの方々から、多大なご支援・ご鞭撻があったからこそなし得たものです。ここに、心からのお礼を申し上げますと共に、今後とも学生達の成長を暖かく見守って頂けますことをお願い申し上げます。
中瀬 勲(緑環境景観マネジメント研究科長)




