震災支援活動

H24年9月29日~10月3日まで、東北にて震災支援を実施してきました。
9月29日は、仙台市で園芸療法による震災支援をされている方々との研修会
9月30日から2日までは、学校関係者に向けて「園芸療法によるストレスマネジメント研修会」を実施しました。

宮城県仙台市で園芸療法士およびアロマテラピイストの方々との研修会

仙台市での研修の様子

園芸療法研修会

宮城大学非常勤講師・園芸療法士の宍戸多恵子先生の関係者および淡路景観園芸学校園芸療法課程2期生の猪俣さん他が参加。仙台市で活躍中の園芸療法実践者や中学校の相談員らに講演および園芸療法のプログラムや作品を提示し、お互いに情報交換をした。
兵庫県園芸療法士(2期生)の猪俣さんは、「仙台市の実家が津波で流され実家に置いていた『兵庫県園芸療法士認定証』が流失したと思っていた。ところが、ボランティアの方によりガレキの中から認定証を見つけていただき、手元に戻ってきた。」と、泥まみれになりながらも手元に戻ってきた認定証を持参された。「被災しながらも認定書が戻ってきたことで、震災支援や園芸療法に対する使命を感じた」と語られた。
また、宍戸多恵子先生とともに震災支援を実施しているアロマセラピストの宍戸さんともお会いし、震災支援にアロマおよび植物を使うことの有用性など情報交換した。
研修会に参加されていた皆さんは、「震災支援に植物をますます活用したい」と語られた。

被災しながらも認定書が戻ってきたと話す 2期生の猪俣さん


第3回 園芸療法によるストレスマネジメント研修会 (岩手県)

岩手県立大学看護学部 環境・保健看護学講座と共催で、昨年から実施し、今回で3回目となります。

<研修会の概要>
被災地では、震災から1年半が経ち、復興に意欲や意義を持って前に進んでいる子どもたちと少し足踏みしている子どもたちの差が見えはじめている昨今です。震災後、心のケアが必要とされていますが、学校などでできる具体的な心のケアの方法は、まだいろいろと模索されているのが現状です。自然豊かな環境で育った被災した子どもたちにとって、自然素材を使ったり、緑環境や戸外での活動を伴う心のケアは、学校などの現場にとっては安全で有効な方法で、「花や緑で心を癒す園芸療法」と通ずるところがあります。
 そこで今年度は、昨年度に引き続き17年前の阪神淡路大震災後に兵庫県が育成した兵庫県認定園芸療法士を中心に、園芸療法による心のケアの研修会を行いました。

1.日時および会場:
平成24年9月30日(日)13:30~16:50 【盛岡会場】岩手県立大学看護学部棟102-103講義室
平成24年10月1日(月)13:30~16:50 【気仙会場】大船渡市保健介護センター 大会議室
平成24年10月2日(火)13:30~16:50 【宮古会場】宮古市総合福祉センター 健やかホール

2.対象: 養護教諭・教諭・スクールカウンセラー・保健師・保育士・学童クラブ指導員など子どもの
心身の健康増進・発育発達に携わる関係者

3.講師:
兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 准教授  
兵庫県立淡路景観園芸学校 園芸療法課程 専任教員・登録園芸療法士 豊田 正博
兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 講師
兵庫県立淡路景観園芸学校 園芸療法課程 専任教員・臨床心理士  天野 玉記
兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 講師   嶽山 洋志
兵庫県認定園芸療法士 上地あさひ 松本むつみ 朝田千香子

研修会の内容:
講義①「2つのタイプのPTSDと自然を利用した心のケア」(講師:天野玉記)
講義②「癒しの環境の理論と学校などの環境を使った園芸療法プログラム」(講師:豊田正博)
演習①「プチ園芸療法:タオルハンガーつくり」(講師:兵庫県認定園芸療法士 上地あさひ)
演習②「園芸療法プログラムの作成」班による討論と発表
(講師:豊田正博・天野玉記・嶽山洋志・上地あさひ・松本むつみ・朝田千香子)
まとめ(質疑応答を含む)

学校管理職(校長・副校長)、県教委の震災支援指導者(臨床心理士)、教諭・養護教員および大船渡の学童保育指導員まで、幅広い職種の方が集まる研修会となった。講義①では、最新のPTSD脳研究を紹介しながら、発達段階に応じたPTSD治療およびケアを具体的に示し、学校で実施してほしいこころのケアや震災後の学校の役割を解説した(天野)。園芸療法を使った震災支援についての講義②では、緑を使った園芸療法をこころのケアに使う理論を説明し、震災支援に緑を使うことの意義を説明した(豊田)。

2つのタイプのPTSDがあることを話す
 天野先生
緑を使った園芸療法をこころのケアについて話す
 豊田先生


講演内容のパワーポイントをPDFにしております。ダウンロードしてご覧いただけます。

  天野玉記「2つのタイプのPTSDと自然を利用した心のケア」講演内容

  豊田正博「こどもの心のケアと園芸療法の活用」(その1)講義内容(1)

  豊田正博「こどもの心のケアと園芸療法の活用」(その2)講義内容(2) 

 

演習では、園芸療法プログラムの紹介としてたくさんの種類のクラフト作品を持参し、作り方を解説しながら「実際の園芸療法はクラフトを作るためだけにセッションするのではなく、その材料を集めに外に行くことなども意味があり、育てる過程や材料集めをする過程、そして作品を飾り何度も繰り返し見たり賞賛しあったりすること、さらには栽培計画を立てる過程が大切」と解説した。また演習では、いろいろな種類の豆やハーブ花びらを詰めていくパイプを使ったハンガー作りを実施した(上地・松本・朝田)。

演習「タオルハンガーを作ろう」
タオルハンガー作成の様子


園芸療法プログラム作りでアドバスする嶽山先生
各班で「学校における花と緑の活用」について討論後の各班の発表の様子


 

園芸療法プログラムつくりでは、対象児童別(子供の年齢に応じた幼・小・中・高)の班分けを行い、学校でできる緑環境・植物の活用などの討論を行った(豊田)。
園芸療法は未来志向型の考え方や仲間つくりができるプログラムを組むことができ、学校での心のケアに有用であることを発表しあう形で確認した。前向きで具体的な研修会であったと好評だった。

被災地 大船渡・宮古 での研修会の様子

 

研修会の様子

大船渡および宮古会場では、盛岡での研修内容はほぼ同じでしたが、被災地だったため、「ハーブの手浴」でリラクセ-ションを行い、演習に入りました。
園芸療法のプログラム作成では、活発な意見が出て被災地で自分たちに何ができるかを真剣に模索されている様子がうかがわれ、前向きな心のケアに向けての取り組みが話し合われた。
プログラムの作成の時の討論会では、「心理の先生の研修会に行ったが、震災当時の辛い内容ばかりを話し色々と聞かれたりすることが多かった。しかし、震災はもう終わった。自分たちも被災して仮設住宅に住んでいるが、今は子供たちのために自分たちが何をすればいいかを考える時期にきている。今回はそのことを考えることができてとても有意義だった」と言われたのが印象的でした。

 

演習の様子


被災地 大船渡の学校訪問  (ストレスケアに花と緑を活用されている様子を見学)

<大船渡地区 学校訪問>

①蛸ノ浦小学校・赤崎小学校の校長先生と対談   
津波により全壊した赤崎小学校の校長先生が、「今は日常生活を取り戻したいと願っている」と言われた。学校では、特別なことをするのではなく緑環境を利用した落ち着いた前向きな取り組みが大切と感じた。
②末崎中学校の養護教諭と学校の緑環境と保健室での緑を生かした工夫を見学した。
養護教諭は、昨年の園芸療法によるストレスマネジメント研修会参加者で、研修会後保健室に来る生徒への心のケアを植物を利用し実践されているとのこと。保健室前に花壇を作られていたり、室内の装飾など、昨年の研修会の実践成果を見ることができた。


末崎中学校の保健室 (外から撮影)

被災地に隣接する末崎中学校は、校庭に仮設住宅が立ち並らびぶ高台にある学校でした。
養護教諭の今野先生は、第1回の研修会の参加者で、研修会後保健室の環境を整える実践をされたそうです。
保健室から靴をはいてすぐに外に出られる環境を利用して、何もなかった場所に手作りで花壇を作られ、ミニトマトや花を栽培して保健室に来る生徒達のストレスケアに花と緑を大いに活用されていました。
保健室内にも花を活けられたり、壁に花の写真などを貼られ、保健室を憩いの場として活用できるような明るい環境を演出されていました。

 

        東日本大震災被災者支援事業-花と緑を活用した暮らしと心のケア-

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