はじめに

 幼児にとって自然や動植物とのかかわりは、その対象を命あるものとしてとらえ、心を動かし、多くのことに気づく経験に繋がります。幼稚園・保育所ではこのような幼児が自ら「気づく」活動を大切に考える必要があり、そのような学びの支援ツールの開発は重要であるといえます。本研究科でもこのような環境学習支援ツールの制作および貸し出し事業に取り組んでいることから、ここではそれらの一部を紹介します。

取り組み内容

1.里山のくらし体験キット(内田友梨恵)

本キットは、里山、集落、里海の3つのゾーンで構成される布製の模型キットであり、幼児がままごとをしながら里山・集落・里海のつながりを感覚的に知ることができる仕掛けを施しています。例えば「里山で伐採した材は薪となり、また落ち葉掻きをして集めた葉や浜でとれた海藻は燃料や肥料にして使うことができる」「集落の背後にある竹林から竹を切り出し、それで竹竿を作り、魚を釣ったり火吹き竹にして火をおこしたりすることができる」「里山でとれたキノコや海の魚、集落で育てたサツマイモなどを調理して食べる遊びができる」など。折り畳み可能なので移動も容易。また大人の介入は重要であり、それぞれの行為が持つ意味を大人が伝えることで子ども達は各ゾーンが関わり合っていることに気付くようになります。

2.食物連鎖を学ぶパズル(浜田将宏)

本パズルは、タカのお腹にヘビのピースが、ヘビのお腹にカマキリのピースが、カマキリのお腹にバッタのピースが、バッタのお腹に葉っぱのピースが入るといった“食う-食われる”の関係をパズルで表現した教材です。実践では餌となるピースを園内に隠し上位の動物としてそれらを探しにいく遊びを行いました。もちろん自由遊びの時間にパズルとして普通に遊ぶこともでき、幼児は生き物の繋がりを遊びの中で学ぶことができます。

3.口にこだわった昆虫のお面(池田拓朗)

昆虫の口はかむ(バッタ、トンボ)、吸う(蚊、蝶、セミ)、舐める(カブトムシ、ハエ)など、いろいろあることを学ぶ教材です。それぞれのお面をつけて餌を食べる様子を子どもたちに表現してもらいます。例えばチョウは花壇に飛んでいき蜜を吸う、セミは樹木に飛んでいき樹液を吸う、ハエは飛んでいき動物の糞をなめる、バッタは草むらに飛んでいき草をかむ、などです。

おわりに

 このようなシミュレーション体験ができる教材を使用することで、複雑化した自然環境や暮らしの仕組みやつながりについてポイントを押さえて、短時間で伝えることができると考えるといったメリットがあると言えます。また里山だけでなく自然や環境にさほど興味のない子ども達に、ゲームや遊び(おままごと)というところから興味を引き出す効果もあると考えられます。なおこれらのツールは実体験と連動させながら用いることで、より効果のある学びになると考えています(担当:嶽山洋志)。

幼児期の遊びや学びを豊かにする環境学習支援ツールの制作
幼児期の遊びや学びを豊かにする環境学習支援ツールの制作

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