植物に人がもっと身近に手をかけられる環境をつくりだす

田淵美也子

田淵 美也子 / Miyako Tabuchi

兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科 准教授
緑文化・生活部門 / 観賞園芸研究室 / 主任景観園芸専門員

古代の墓から弔いのための花が発見されているように、花を愛でる行為は人間の生活とは切っても切り離せないもの。「ここを卒業していく生徒にも花の力を信じてもらえたら」と鑑賞園芸の研究室を持つ田淵先生は話す。

幼少期を西宮(夙川)の自然が豊かな環境で過ごし、花好きに。「当時は今よりずっと手付かずの自然があって。野草の図鑑を片手に草花を見るのが大好きだった」そんな気持ちも忘れかけていた高校生の頃、造園を専門にしていた生物の先生に出会い、大学の研究室に遊びに連れて行ってもらう機会を得る。再び植物の世界に帰還を果たし、大学で造園を学ぶことに。卒業後は民間で造園のコンサルタントを1年半、その後尼崎市で緑の相談員を4年、結婚を機に北海道へ行くこととなり、札幌市公園緑化協会に在籍し、3つの大きな公園の管理を中心に、公園の立て直しや活性化などを約28年間行ってきた。

「教職に就くとは思ってもみなかった」という田淵先生。それなのに今、教鞭をふるう理由は、実際に公園の管理に携わるなかで驚かされた人材不足の実態だ。造園を勉強してきたはずの若手が樹木や草花のことをあまりにも知らなすぎるのだ。
「景観や造園のデザインも、管理しやすさだけを追うとつまらないものになってしまう。でも、見栄えだけになってしまうと後々本当に大変。ガーデニングや景観デザインも流行っていて、携わる人は増えてきているけれど、持続性について考えられる人はほんの一握り。とても難しいことだけど、大事なんです。人の手が抜けたら、台無しになる。“人の手がかからないランドスケープ”という方向もあるけれど、私は人が関わっているからこそランドスケープと言えるのではないかと思う。だから、そういうことがわかる人を育てて世に送り出したいと思ってやっています」

田淵美也子

授業では、北海道での公園管理の経験もできるだけ話すようにしている。
「卒業後、誰がどこでどう働くかは未知数。どこに行っても自ら考えて工夫できるようなヒントになればと」
自分自身も淡路のような暖地で特に夏越しが難しい観賞価値の高い植物を、どのような環境を作れば育てられ、また美しい花修景ができるのか試行錯誤している。

生徒に一番伝えたいことを聞くと
「植物を理解するには、枯らしてなんぼ! 社会に出てからも、枯らすことを恐れず、チャレンジしてほしい」
と答えが返ってきた。植物は生き物。その土地の気候の関係も含め、植えてみないとわからない。失敗してはじめて、どうすればよかったのかと考えられる。失敗からしか学べない。可哀そうと思う気持ちはわかるけれど、それをエネルギーに変えて欲しいと熱く語る。

「植物について、もっと人に紹介したいことがたくさんある」という田淵先生。今までの仕事で世界に誇れる日本原産の植物「ツバキ」「ユリ」「アジサイ」にかかわることができた。日本の植物のすばらしさに加え、世界の様々な植物をどんなふうに楽しめばいいかなどを伝えていければと思う。夙川で沢蟹を捕って喜んでいた頃のままのまなざしで、今日も生徒と花と向き合っている。

田淵美也子

担当科目

主任:フィールド植物観察演習Ⅰ&Ⅱ、植物管理技術演習Ⅰ&Ⅱ
分担:造園施工演習、生活空間デザイン、緑環境景観マネジメント概論、反復型インターンシップ、緑環境景観マネジメント企画演習、活用デザイン実践演習
研究のテーマ:公共空間の花修景、暖地の宿根草ボーダー、新しい園芸植物の利用、植物を楽しむ(観賞、料理、クラフト、染色、生活等)、アジサイ類の変異と園芸利用
資格等:樹木医、公園管理運営士、自然再生士、1級造園施工管理技士、毒物劇物取扱者 他

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