ALPHA
Garden
見頃の植物     
(2005.11.10)

秋の光の中で

秋のやわらかい西日に照らされた実技フィールド
(11月4日撮影)

「天高く馬肥ゆる秋」、澄み切った秋空を見上げるとこんな言葉が思い起こされますが、これは元々は中国の農民達が稔りの秋にやってくる北方騎馬民族の略奪をおそれて、警戒を呼びかけた言葉だとか、のどかに青空を見上げてほっこりする詩ではないのだそうです。そうはいってもこの季節、なぜだか心がゆったりと寛ぐのは暑い夏を乗り越えたという安堵感であり、そしてなによりも秋の優しい陽射しのせいではないかと思っています。
本校を来園される方はよく「今、何が咲いていますか」とお尋ねになりますが(そのためにこのページがあるのですが…)、私には四季を通じて変化するキャンパスからの雄大な眺め、空と海と山と視線がずーっと先までのびる景観がこの学校の何よりの魅力ではないかと思われて成りません。そして特にこの時期、西日に照らされたフィールドは盛りを終えた植物たちに、そして一日の仕事が終わりに近づいた我々の疲れた体を癒すように優しい光に包まれます。もちろんここに彩りを添えてくれる一つ一つの植物たちもなくてはならない存在ではあるのですが、秋の夕日は枯れた花も、雑草でさえも美しく輝かせ、その暖かさは心の奥深くまで染みこんできます。目の前の地面(あるいは机に)向かって頭を最大限に悩ませていたこともとてもちっぽけに感じて、ああまた明日がんばろう、と思うのは私だけでしょうか。人間にはかなわない自然の大きな力を感じるときです。
 たとえ猫の額でも、プランター一つでもガーデニングは楽しいものですし、美しい花は空間を華やかにしますが、時々頭をあげて、周りのもっと広い世界を見渡すことが大事です。どんな地球の、どんな国の、どんな地方の、どんな町並みの、どんな景色の中で花を植えようとしているのか…あなたのお庭も少し違ったものに見えてくるかも知れません。

イソギク
学名:Ajania pacifica
科名: キク科
植栽場所: 風の庭 他

伊豆や房総半島の海岸に自生している宿根草ですが、深い緑に白い縁取りがあるように見える葉も、黄色の花も美しく、生育も旺盛で育てやすいことからもガーデニングに適した植物といえます。花が白と黄色のものや、斑入りの品種もあります。
レオノティス・レオヌルス 
学名:Leonotis leonurus
科名:シソ科

植栽場所:道路沿い花壇

属名は「ライオンの耳」の意。南アフリカ原産の大型の宿根草で、今年は台風の害が少なかったせいか、2mほどに成って咲きました。が、枝振りがばらつくので、夏に切り戻してやるといいのかも知れません。秋空に映えるオレンジの印象的な花です。原産地では薬草としても珍重されています。
ノジギク
学名:Chrysanthemum japonense
科名:キク科  
植栽場所:エントランススロープ上、宿根草ボーダ他

兵庫県の県花として知られるノジギクは、日本にしか自生していない植物ですが、野生の自生地は減少傾向にあり、県のレッドデータにもランクされています。カモミールサイズの花が密に咲き、ALPHAガーデンでは秋の定番です。
ツワブキ
学名:Farfugium japonicum
科名:キク科    
植栽場所:四季の庭ほか

日本庭園にはおなじみの植物ですが、この時期四季の庭の流れの周囲を明るく彩ります。つややかな丸い葉も美しく、蕗のように葉茎を食べることも出来る、有用な花です。斑入りの葉など園芸品種も豊富です。
   
クジャクアスター(八重咲き)
学名:Aster cv.
科名:キク科  
植栽場所:校名板の前、宿根草ボーダーなど

2年ほど前に仕入れた苗ですが、連作障害がでるのか、花壇に植えたものは春から夏にかけて病気が出やすく、多くが枯れてしまいました。しかしバックヤードに移植したものはノーメンテナンスでも元気に咲いていたりします。生き残った株は9月頃に短く刈り込んだこともあり、30cmほどのほどよい丈で、美しく咲きました。ピンクの花もあります。
イチゴノキ ’コンパクタ 
学名:Arbustus unedo 'Compacta'
科名:ツツジ科  
植栽場所:カフェテリア裏

あまりにもマイナーな場所に植わっていたので、こんなに大きく育っていることに気づきませんでした。イチゴというよりはヤマモモにそっくりな赤い実を付ける地中海地方原産の常緑樹です。インターネットで検索するとフランス語のページがほとんどだったので、英語圏では余り栽培されていないのでしょうか。花と実が同時に楽しめる(実は前年の花についたもの)にぎやかな木です。
ユリオプスデージー
学名:Euryops pectinatus
科名:キク科  
植栽場所:エントランススロープ、展示見本園等、園内各所

また今年もユリオプスが元気に咲く季節がやってきました。南アフリカ原産で、開花期間の長く、また花のない季節もシルバーがかった緑の姿は花壇の中の引き立て役にまわるので、大いに活用したい植物です。零度を下回る寒さは苦手です。
ハマボウ
学名:Hybiscus hamabo
科名:アオイ科  
植栽場所:実技フィールド

兵庫県内では洲本の成ヶ島にしか自生していないと言われる、日本原産のハイビスカスです。夏にオクラの花によく似たクリームイエローの花を咲かせることはよく知られていますが、秋の紅葉の美しさにも注目したい植物です。来年は庭園内に移植したいと思っています。
ヒメツルソバ
学名:Polygonum capitatum
科名:タデ科  
植栽場所:風の庭、花の庭など

ALPHAガーデンを代表する秋の花と言えばこれです。タデの仲間だけに、繁殖力が強く、時に雑草のように扱われることもありますが、ピンクの丸い花を一面に付け、葉も寒さで赤く色づく秋、周囲の空気までをピンク色に染めるようです。
今月の花
 ページトップを飾る花について紹介する欄ですが今回は趣向を変えて、秋をテーマに園内の風景をいくつかご紹介します。
 自然と花が少なくなるこの季節、樹木や、オーナメンタルグラスの存在がいかに庭園づくりに不可欠かと言うことがよくわかります。グラス類の空気感や、樹木のシルエット、カラーリーフの彩りが秋から冬の庭の主役です。
 美しいシーンをつくりだす庭、管理が大変でない庭をつくるポイントは花と緑(樹木や、グラス、灌木)のバランスです。たっぷりの緑に花を少々。あなたの庭でも実践してみてください。

                     
夕日に照らされるオーナメンタルグラスボーダー

シマサルスベリの紅葉もなかなかのものです。

メキシカンブッシュセージ(サルビア・レウカンサ)はだんぜん群生させたほうがきれいです。


おまけ:学祭の名残りのシシ神様

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