見頃の植物

フウセンカズラ

フウセンカズラ



学 名:Cardiospermum halicacabum
科 名:ムクロジ科
原産地:北アメリカ
植栽場所:園芸療法ガーデン



 木の幹にくるくると巻きついて、さわやな黄緑色の小さな風船が揺れています。
 丸くふくらむ黄緑色の袋は蒴果(さくか)と呼ばれる実の部分であり、風船のような姿をしていることから、この植物はフウセンカズラという名がつけられました。またカズラとはツルの意味 で、その名の通り小さな巻きひげが樹木などに絡みついてよじ登ります。
 葉には細かい切れ込みが入り、7~8月頃には小さな緑がかった白い花が咲き、淡い緑色の細い茎葉にポツポツと白い花をつけて伸びるツルの様子は真夏に清々しさを感じられます。
 その花が落ちたあと、黄緑色の蒴果が膨らみはじめます。このふくらんだ風船を手にとってみると、まさに!紙風船のごとく薄く、ふわふわとした感触があります。とってもかわいらしい風船ですが、気になる中身を確認すべく指で抑えてみると、ポンっと、これまたかわいらしい音をたてて弾けました。中をのぞくと・・・パカッ!!中が3室に分かれていて、その各室1つずつに緑の種が入っています。なんとおもしろい作りなのでしょうか。
 
 さらに!この風船は熟すと茶色になり、緑色の種も色が変化し、なんとこの3mmほどの小さな種にハートマークが描かれるのです!(下の写真でコロコロところがっているものです。)シックな黒に白のハート。モノトーンカラーでシンプルでもかわいく笶、・・顔を描くとお猿さんにも変身♪愛嬌たっぷりのフウセンカズラの風船は10月頃まで楽しめます。ぜひ手に取り観察してみてください。
 下記でも紹介していますが、フウセンカズラは緑のカーテンとしても家庭で利用されています。ツルは細いですが、伸びはじめると繁茂してツルどうしが絡んでしまうので、支柱やネットを立てて誘引したり、7月以降の高温期にはのびたツルを間引いて形を整える作業も大切です。ツルの成長とともに鈴なりになって揺れる緑の風船を秋のはじまりに楽しんでみてはいかがでしょうか。


フウセンカズラ  こんなところで大活躍!

 最近、旺盛に育つ葉や茎で陰を作りだすゴーヤーやヘチマなどのツル性の植物が家庭の緑のカーテンとして楽しまれています。
 そんな中、フウセンカズラは枝葉がそれほど密に成長せず、葉の淡い緑の色合いなどから、ほどよい木漏れ日のある日陰づくりに一役かっているようです。真夏の日差しをガッチリガードのカーテンも心強いですが、夏の太陽を植物越しに感じる木漏れ日カーテンも魅力的ですね。
 しかし!その強い繁殖力で庭から飛び出し、一部野生化してしまっている例も見られます。こぼれダネやツルの繁茂などに気を配り、栽培場所、管理には注意して緑のカーテン作りに取り組みましょう♪  
 
参考文献 〈『趣味の園芸 5月号』NHK出版(2013.4.21)〉
〈塚本洋太郎『趣味の家庭園芸 1 草花Ⅰ(一・二年草) 』株式会社ほるぷ(1978.8.15)〉
〈野間省一『園芸大百科事典 夏の花Ⅱ 6巻』講談社(1980.8.1)〉