園芸療法課程通学制 園芸療法実習Ⅱ報告会が開催されました。

平成30年6月3日(日)に、在校生や修了生を対象とした「園芸療法実習Ⅱ報告会」が、本校で開催され、通学制6期生11名が発表しました。

通学制2年目の4月から5月に施設で4回行う園芸療法実習Ⅱは、1年目に学んだ「園芸療法基礎」や「園芸療法の手順」、「栽培演習」、「園芸療法実習Ⅰ」などを踏まえて、園芸療法対象者を2名受け持ち、修了生である兵庫県園芸療法士の指導(スーパーバイズ)のもとで行われます。学生は、対象者との関係性構築や疾患・障がいの様子を理解するために行う試行園芸や、職員から得られた対象者の情報を整理して初期評価を行い、園芸療法の目標、評価方法、園芸療法計画について発表します。 *以下説明あり

 

 

 

 

 

 

 

在校生、修了生からのコメント

  • 実習内容を聞くと、対象者と園芸療法学生の個性が積み重なったものだと感じた。
  • 見やすく、わかりやすい発表資料が多くなった。
  • 園芸療法の一連の流れ(情報収集、統合・解釈、焦点化、目標設定、プログラム計画)がわかりやすかった。
  • 園芸療法プログラムに用いる材料は重要で、新鮮できれいな素材を使うことを常に心がけてほしい。
  • 高齢者への園芸療法では、認知機能や日常生活動作の維持にとどまらず、人生の最終ステージに園芸療法を通してどのように関わることができるかを考えて対応して欲しい。
  • 「こころが動けば、体も動く」。対象者のこころを動かすのは、園芸療法課程の学生。

教員からのコメント

  • わかりやすい発表資料ができているので、次回は、参加者にわかりやい説明ができるよう、何回も発表練習をして報告会に臨んで欲しい。
  • 発表レベルが毎年上がってきているのは、修了生であるスーパーバイザーが毎年報告会に参加して、よい発表を指導に活かしているから。
  • 実習Ⅲでは、園芸療法実習にご協力いただいている対象者様へ生きがい、喜びをお返しできるような実習にして欲しい。

“植物の癒しを使うプロ”を目指して、その第一歩を踏み出した11名の学生は、7月から園芸療法実習Ⅲを開始し、今回設定した園芸療法目標に基づいて園芸療法を実際に展開していきます。この報告は、「園芸療法実習Ⅲ報告会」として、平成31年1月20日(日)に淡路景観園芸学校で開催されます。こちらは一般公開します。園芸療法を知りたい・学びたい、施設で園芸療法を導入したいといった園芸療法に関心のある方はどうぞご参加ください。詳細は、別途ホームページにてお知らせします。

 

初期評価は、対象者について集めた情報を整理して、園芸療法目標を設定するための1つのプロセスです。
 整理するために、次の段階を踏みます。

  • 統合・解釈:「ICF国際生活機能分類」をもとに作られた本校オリジナルの“園芸療法のためのICF調査項目表”を活用して、カルテ情報、聞き取り、検査、観察、試行園芸などから得た情報をまとめ、情報間の因果関係を探り、対象者の健康状態を理解していきます。
  • 焦点化:統合・解釈した内容の中から園芸療法を行う上で注目すべき内容を明らかにし、園芸療法目標の設定につなげます。

「統合・解釈」、「焦点化」について、今回学生が作成し、発表した資料を使ってご紹介します。

「対象者は、80歳代の女性です。“アルツハイマー型認知症(AD)”の症状に加えて、“高齢”のため心身機能が低下し、さらに“活動機会が少ない”、“さびしさ”のため、さらなる心身機能低下や情緒不安定が心配されます。一方、現在維持されている心身機能と、「何でも教えたるで!」という意欲があり、園芸療法によって“活動機会の提供”、“他者との交流”、植物とかかわることによる“リラックス”効果や“情緒の安定”が期待され、“施設で穏やかに楽しく暮らす”ことができると思われます。」

「私(学生)は、この人のプラスの面としては、“活動を行う心身機能”、“コミュニケーション能力”、“交流の意欲”があることに注目しました。課題については、“活動の機会が少ない”、“気分のムラ”や“抑うつ傾向”に注目しました。」

「園芸療法では、“リラックスできる機会やエピソードを語る機会”を提供し、“職員や他の入居者との交流場面を創出”することができると考えました。」

 

(文責 金子みどり)

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