園芸療法とみどりと健康活動、園芸福祉
- 園芸療法の定義
園芸療法(Horticultural Therapy)は、植物との関わりがもたらす人の健康への多様な効果を活用し、
対象となるひとの目標に応じて働きかけるものです。
園芸療法は対象や場所、地域などによって内容が様々であることから、その解釈には揺らぎがあります。
そこで、園芸療法とは何かを理解するために、「園芸福祉(Horticultural well-being)」と「みどりと健康活動(Green Care Activity)」についてお伝えしたいと思います。
園芸療法とみどりと健康活動、園芸福祉の関係を下の図をもとに説明していきます。

- 園芸福祉とは
まず、「園芸療法」も「みどりと健康活動」も「園芸福祉」の一部である、ということです。
「園芸福祉」という言葉は、園芸療法が日本国内に紹介され、その解釈が拡大した1990年代後半に、
当時九州大学農学部教授であった松尾英輔氏が、この領域の取り組みを整理するために提唱した概念です。
園芸活動や植物との関わりには元来、人の身体面、精神面、社会面の全てに幸福をもたらす福祉的機能を有しており、その機能を積極的に活用して私たちの幸せを推進しようという考え方が(広義の)「園芸福祉」です。
- 園芸療法と園芸療法士の役割
園芸福祉の取り組みのうち、病や障がいのために、園芸による福祉を享受するには専門職種による療法的な関わりや支援が必要となる人を対象とした活動が「園芸療法」です。
園芸療法では、対象者固有の目標を達成するために、植物がもたらす人への健康効果について知識を持ち、それによる介入技術を有する「園芸療法士」が、用いる植物や園芸作業、対象者への関わり方を十分に検討してアプローチを行います。
園芸療法の実践には園芸や医療、福祉、心理、教育などさまざまな分野の知識や技術が必要になるため、本校では2年間の教育コースとしています。
- みどりと健康活動、(狭義の)園芸福祉活動
一方で、広義の園芸福祉のうち、療法的な関わりを必要とする園芸療法を除いた部分、
より多くの人に共通した目的によって、病や障がいの有無に関わらず全ての人を対象として提供される活動を「みどりと健康活動」あるいは(狭義の)「園芸福祉活動」と呼んでいます。
この活動には、コミュニティガーデンづくりを通した地域のつながりづくりや、植物を用いた活動による楽しみの共有などを目的としたイベントなど、みどりを用いた様々な活動が含まれます。
そして、こちらの活動を担うのが「みどりと健康活動指導士」であり、「園芸福祉士」となります。
- みどりと健康活動指導士の役割
「園芸療法士」はみどりと健康活動および狭義の園芸福祉の領域に関する知識、技術も有しているため、広義の園芸福祉全体に関わることができますが、
「みどりと健康活動指導士」および「園芸福祉士」は、園芸福祉のうち、みどりと健康活動と狭義の園芸福祉活動のみに関わることができます。
みどりと健康活動の実践においても、基本的な医療・福祉に関する知識や、園芸や栽培に関する知識、技術、対象者との関わり方について学ぶ必要があり、本校では1年間の教育コースを設け、その修了者に対して「みどりと健康活動指導士」の資格を授与しています。
引用・参考文献:松尾英輔:園芸福祉はいま—誕生,現状,そして,展望.園芸学研究 4 (4):373-378, 2005.
上図は本文献内第1図を改変した。
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