園芸療法実習Ⅲ(通学制)報告会が開催されました。

平成31年1月20日、淡路景観園芸学校にて園芸療法課程通学制6期学生による園芸療法実習Ⅲ報告会が開催されました。当日は非常勤講師の寺田先生、実習指導をしてくださったスーパーバイザー(修了生)、園芸療法課程の修了生、在校生など40名の方が参加されました。

参加者からは、

  • しっかりした園芸療法計画や学生のかかわりがよりよい園芸療法につながっていたことがわかった。
  • 対象者の個人因子をとらえながら、個人活動とグループ活動の特徴をいかし、学生1人1人が違う園芸療法をしていることがわかった。
  • スーパーバイザーである修了生のサポートが充実していることがわかった。

など多くの講評をいただきました。

以下に当日発表されたタイトルと内容をご紹介します。

 

【グループホームに入居するアルツハイマー型認知症高齢者に行った園芸療法】

認知症(中等度から重度)で注意の維持困難、落ち着きがないなどの課題がある80歳代女性へ、面倒見のよい主婦で、そろばん塾の先生だったいう点に注目し、週1回計18回の園芸療法(花の寄植え管理、花壇の整備、創作活動など)を実施(個別活動)。短時間ででき、学生や施設にいる身近な人々を助けたり、役に立ったりする活動を実施することで、認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」、「自分らしさの表現」に関する項目で改善が見られた。

 

【特別養護老人ホームに入居するアルツハイマー型認知症高齢者に行った園芸療法】

認知症(軽度から中等度)で臥床傾向のある90歳代女性へ、植物栽培や生け花の経験に注目し、週1回計18回の園芸療法(観葉植物の管理、野菜の栽培、野菜スタンプを押した日記帳づくり、フラワーアレンジメントなど)を実施(個別活動)。毎週水やりを行い成長していく観葉植物の管理を「楽しいお仕事」と話し、できあがったハーバリウムの説明を施設職員にしたり、日記をつけたりする姿がみられるようになり、認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」、「自分らしさの表現」に関する項目の改善が見られた。

 

【自室で過ごすことが増えてきた高齢女性に行った園芸療法】

高血圧による頭痛、不眠症があり、自室で過ごす時間が増えてきた80歳代女性へ、コミュニケーション能力が高いことに注目し、園芸療法(花の寄植えと管理、創作活動など)を実施(少人数活動)。園芸活動では入居前からの知人と共同作業を行い、自分らしさを発揮し充実感を得、花の寄植えを入居者の集えるベランダに置くことで他者との交流を広げた。認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」、「自分らしさの表現」に関する項目が改善し、「頭痛が解消した」という発言も聞かれるようになった。

 

【デイサービスに通所する脳性麻痺のある身体障がい者に行った園芸療法】

アテトーゼ型脳性麻痺の診断をうけた40歳男性へ、左下肢健全、平仮名の読字可能、iPadの操作可能のプラス面に注目し、自ら使える語彙が増えるよう目標を立てて園芸療法(野菜栽培、ハーブの足浴、野菜スタンプ、花の写生など)を実施(個別活動)。実習後半にはトーキングエイドを使用して「ざらざら」、「やわらかい」などの植物への触覚を言葉で表した。また、自分が育てたい野菜をiPadで調べたことをきっかけに、学生の促しなしで自発的に調べる頻度が増え、調べた内容への関心度も高くなった。

 

【特別養護老人ホーム入居の認知症高齢者への園芸療法】

アルツハイマー型認知症(中等度)で不安感、活動機会が少ないなどの課題がある80歳代女性へ、生け花の経験、手先が器用という点に注目し、週1回計18回の園芸療法(生け花、野菜の栽培、アルバム作り、創作活動など)を実施。公共の場に飾った生け花や作成したアルバムが職員との会話のきっかけとなり他者交流が増えた。職員からは園芸活動をした日は落ち着いている印象があるとのコメントもあり、認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」、「自分らしさの表現」に関する項目でも改善が見られた。

 

【介護老人保健施設に入居する認知症高齢者に行った園芸療法】

認知症(軽度)、交通事故後の下肢痛のため臥床時間が長いなどの課題がある70歳代女性へ、園芸に必要な見当識や注意機能が維持されていることに注目し、週1回計18回の園芸療法(花や野菜の栽培、散歩、創作活動)を実施(参加者2名は固定)。園芸活動を「楽しい」と話し、集中して作業するようになり、園芸活動の参加者だけでなく他の入居者との交流も増え、ディルームで過ごす時間が増えた。

 

【養護老人ホームに入居している小脳出血後遺症高齢者に行った園芸療法】

右下肢不全麻痺に加え骨折のため思うように体が動かず、居住フロアも変わり親しくしていた人と離れ寂しさを感じていた70歳代女性へ、花や植物が大好きという点に注目し、園芸療法(花の寄植え、創作活動など)を実施(参加者は固定した2人または5人)。 
参加者2人の活動では関係性が構築され参加者同士の信頼感や安心感が生まれた。5人での活動では自発的に他参加者の手伝いを行い、次第に参加者が馴染みの仲間となっていった。認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」に関する項目が改善し、特にその小項目の「満足」に改善が見られた。

 

【グループホームに入居しているアルツハイマー型認知症高齢者に行った園芸療法】

認知機能低下(軽度)、うつ病(服薬中)で、日中ぼんやりを過ごすことが多く、馴染みの人がいないなど意欲の低下が予測される80歳代男性へ、大工で手先が器用、知的で会話の幅が広いことに注目し、週1回計18回の園芸療法(野菜の栽培、花の寄植え、創作活動)を実施(参加者2名は固定)。土を混ぜる、計測など大工経験を活かした作業に積極的に取り組んだり、今まで経験のない野菜栽培に挑戦したりすることで意欲が向上、認知症高齢者の質尺度(QOL―D)の「周囲との交流」、「自分らしさの表現」に関する項目に改善が見られた。

 

【介護付き有料老人ホームに入居している高齢者に行った園芸療法】

心疾患、アルツハイマー型認知症(軽度)、対応困難行動の課題があり、疾患治療のための飲食制限、家族の来訪が少ないなどの状況にある80歳代女性へ、ストレス緩和を目標に、週1回計18回の園芸療法(フラワーアレンジメント、花や野菜の栽培管理、創作活動)を実施(個別活動)。対応困難行動は続いていたが、園芸活動や学生との1対1のかかわりは、感情表現の増加、園芸活動直後のストレス軽減や高揚感の上昇につながった。

 

【特別養護老人ホームに入居している右上下肢不全麻痺高齢者に行った園芸療法】

60歳代で脳内出血発症後、施設で療養生活を送っている80歳代女性へ、農業経験があり課題遂行に必要な認知機能、運動機能が保持されている点に注目して、週1回計18回の園芸療法(野菜の栽培、散歩、五葉松の手入れ、創作活動など)を実施(参加者2名は固定)。 
実習では無理なく栽培作業ができるよう自作のレイズドベッドやシート花壇を取り入れた。実習後半、自発的場面が多くなり、園芸活動に夢中になることで病気を忘れ、楽しく穏やかな時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(文責 金子みどり)

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