兵庫県立淡路景観園芸学校 校長 平田 富士男

校長 平田 富士男

今年、本校の園芸療法課程は、開講10周年を迎えることとなりました。

 本課程は、2002年9月に、県知事認定の園芸療法士を養成する1年間の全寮制課程として、わが国随一の教育水準をもつ内容で開講しました。
 2002年といえば、今から17年あまり前となる1995年に発生した阪神・淡路大震災の復興にも一段落がついた時期でした。

 あの大震災の教訓として私たちが学んだものは、人々を襲う過酷な状況の中で、被災者の心を癒し、人に明日への希望を与えてくれる命ある植物の存在の重要性であり、そのような植物に代表される自然との共生をいかに実現するか、ということでした。

 幸いにも、全国から多くのご支援をいただきながら復興を遂げた兵庫県では、その実現のひとつの手法として園芸療法という新たな分野に着目し、その教育課程を確立しました。

 そして、それまでの多くのご支援へのお返しとして、“花とみどりで人を癒す”園芸療法士を育て、全国へその輪を広げていこう、と現在まで125名の兵庫県知事認定園芸療法士を養成し、全国各地で園芸療法の展開を図って参りました。現在、本校を巣立った園芸療法士は、医療、福祉のみならず、教育、造園・園芸など幅広い分野で活躍しています。

 そのようななか、昨年さらに阪神・淡路大震災以上の被害をもたらす東日本大震災が起こりました。今なお、多くの被災者の皆さんが仮設住宅などの不自由な生活を強いられていらっしゃいます。そのようななかでも、花や緑は被災者の皆さんの心をいやし、復興への希望と勇気づけのきっかけとなっています。

 このように園芸療法への関心、期待がますます高まるなか、今年からは新たに通学制課程も開講するなど、園芸療法を学びたいと思われるより多くの方々の期待に応えられるようその充実を図っております。

 このような時期に開講10年を迎えるにあたり、これまでの兵庫県園芸療法士の全国での実践実績を振り返り園芸療法課程10年間の教育を検証するとともに、園芸療法に関わる研究の進展をも検証し、これからの園芸療法をどう展開していくべきか、その方向性を探るべく、平成24年12月8日(土)、9日(日)に園芸療法課程10周年記念事業を実施することといたしました。

 12月8日(土)は、園芸療法士による実践発表や海外の園芸療法専門家による園芸療法レクチャー等を行い、9日(日)は神戸市元町の兵庫県公館にて記念式典、基調講演、海外の園芸療法専門家らによる国際シンポジウムを開催する予定です。

 この機会に、園芸療法の最新の取り組みとこれからの姿にふれていただければ、と思います。
 園芸療法、そして花や緑にご関心のある方々の多数のご来場を心よりお待ち申し上げます。

 詳細につきましては、今後、HPにてお伝えさせていただきます。どうぞ、これからもこのサイトにご注目ください。よろしくお願いいたします。

開講10周年記念行事

 

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