【はじめに】
大建工業株式会社および国土防災技術株式会社が共同開発したDW ファイバーは国産の木材チップを特殊解繊処理し，植物の生育促進効果のあるフルボ酸を添加したものです．本校は大建工業株式会社と共同でDW ファイバーを農業・園芸・造園に活用する研究を行っています．今回はDW ファイバーをマルチとして活用し，その防草効果を評価した研究を紹介します．

【材料および方法】
2022 年7 月に兵庫県立淡路景観園芸学校構内の花壇でマルチを施工しました．除草した1m×1m の区画に厚さ5cm でDW ファイバー，杉ファイバー，竹材DW ファイバー，杉バージンチップおよびバーク堆肥の5 種類の資材を被覆しました（写真1）．また，防草シートを被覆した処理区および何も被覆しない裸地区も設けました．

【結果】
マルチ施工89 日後の雑草発生状況を写真2に示しました．DW ファイバー，杉ファイバー，竹材DW ファイバーおよび杉バージンチップを被覆した場所では少量の雑草が発生しました．
バーク堆肥を被覆した場所および裸地では雑草が多数発生しました．防草シートを被覆した場所には雑草の発生は見られませんでした．

マルチ施工89 日後に各場所に発生した雑草を採取し，その乾燥重量を測定しました（図1）．杉ファイバーを被覆した場所に発生した雑草の乾燥重量は裸地のおよそ1/6，杉バージンチップは裸地の1/4以下，DW ファイバーおよび竹材DW ファイバーは裸地の半分以下でした．バーク堆肥を被覆した場所では，バーク堆肥表面から雑草が発生しており，裸地よりも雑草は多く発生しました．被覆した杉バージンチップの一部は処理の枠外へ飛散しました（写真3）．なお，他の被覆資材の飛散はほとんど見られませんでした．

【まとめ】

• DWファイバー，杉ファイバー，竹材DWファイバーおよび杉バージンチップを被覆した場所の雑草発生数は，裸地やバーク堆肥を被覆した場所よりもかなり低くなりました．
• 特にDWファイバー，杉ファイバーおよび竹材DWファイバーは資材の飛散もなく，安定した防草効果が認められました．
  
  

文責：主任景観園芸専門員・准教授　札埜 高志