セミナー:都市公園におけるインクルーシブな遊び場づくりの現状と課題を実施しました
2024年6月8日(土)14時30分~16時にて、セミナー:都市公園におけるインクルーシブな遊び場づくりの現状と課題をオンラインにて実施しました。
本セミナーは日本福祉のまちづくり学会関西支部と兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科の共催によるもので、事前登録77名に福祉のまちづくり学会関西支部幹事の方々10名、話題提供者およびコメンテータ4名を加えての実施となりました。
セミナーでは、まず、整備する側として国土交通省の曽根直幸氏からインクルーシブ公園についての全国的な動向を、大阪府庁の堤公平氏からは府営公園整備における障がい当事者参画に関する取り組みについて報告していただいた後、利用者側として兵庫県立大学の剱持卓也氏と福祉のまちづくり学会関西支部の鈴木千春氏(当日は体調不良のため欠席)からコメントをいただく形をとりました。
曽根氏からは、まず、都市公園そのものの役割といった基本的なところから、これまでの公園バリアフリー化の現状、さらには目指すインクルーシブな遊び場づくりの姿を4月に国交省から出されたばかりの参考事例集を引用して紹介いただきました。ここでは、特別な仕様を備えた公園整備というよりは、対話を基盤とし、公園を多様な主体と共に育てていくといった考え方が重要であることが示され、課題としては、日常的に現場が手一杯ななか対話を具体にどう進めていくか、さらには庁内連携の重要性や難しさなどを挙げていただきました。
続いて、堤氏からは、大阪府営公園、主として久宝寺緑地での新規整備あるいは出入り口やトイレの改修の際の障がい当事者参画について報告をいただきました。ここでは、整備の様子はもとより、これまで現場で取り組んできた内容を整理して共有している様子や職員向け研修を実施している様子が紹介されるほか、参加のあり方そのものや利用者さん同士の理解をどのように促せばよいのかなど現場ならではの悩みなども紹介いただきました。
議論の場では、剱持氏からインクルーシブが取り込まれる経緯や整備後のモニタリングの様子、さらには当事者参画の場づくりのノウハウなどに関する質問がなされました。ここでは、共生社会づくりや多様性尊重といった行政課題が挙げられるなか、公園がそのツールとしてわかりやすく注目されているのではないか、現状把握についてはなかなか実現できておらず、ここは学ががんばる必要があり、いかにして双方向的に建設的な当事者参画の場にしていくのかについての意見交換がなされました。また、公園財団の浅田増美氏からは公園は作ることで完成ではなく、利用されてこそ価値があり、時代の変化、ニーズに合わせて変化していくことが必要などもコメントもいただき、最後は福祉のまちづくり学会関西支部の北川支部長よりご挨拶いただき、セミナーを終了しました。
インクルーシブな公園づくり。耳触りが良い反面、実際は問題が山積です。担当してみて、継続的に現場での知見を共有して、次につなげていくしかないことがあらためて確認できたかなと思います。ご尽力いただいたみなさまにあらためて感謝申し上げる次第です。
【文責・美濃伸之】