本研究科が研究支援している南あわじ地域の「多重生産循環システ ム」が日本農業遺産の認定で一次審査を通過しました

本研究科の嶽山洋志准教授と研究科10期生の高橋里佳さんが、2019年10月から研究支援している南あわじ地域の「水稲・たまねぎ・畜産を連携させた多重生産循環システム」について、令和2年度日本農業遺産の認定申請を“南あわじ地域世界・日本農業遺産推進協議会”が行ったところ、無事に一次審査を通過しました。

今回の中心テーマである「多重生産循環システム」とは、高度に発達した灌漑システムを基盤として、水稲とたまねぎの二毛作栽培と、畜産を連携(稲わらを畜産に利用し、牛ふん堆肥を土壌改良として投入)させた循環システムのことを差し、特徴は以下の4点にあります。
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1.ため池(日本有数の高密集)、河川、用水路といった表層水と、湧水、深井戸、浅井戸といった地下水を組み合わるといった、多様な灌漑システムを構築していること。また、その管理運用は「田主(たず)」と呼ばれる伝統的な水利組織が担っていること。

2.稲刈り後の水田でたまねぎを栽培する「淡路発祥の二毛作」と、牛ふん堆肥を農地に投入して土壌改良することにより、水稲、たまねぎ、畜産が連携・循環する農業システムが確立されていること。このような循環システムが小規模集落内で展開している地域は世界的にみても他に例がない。

3.遺伝的資源として重要な品種「淡路中甲高」を1923年に選抜、国内の秋播きたまねぎ(早生種を除く)の約91%が本種由来の品種となっていること。

4.たまねぎ小屋でゆっくり自然乾燥させたたまねぎは、機能性成分(ケルセチン)が2か月で1.5倍に増えること、また吊玉貯蔵したたまねぎは長期保存で糖含量が増え甘くなること。
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本システムは、瀬戸内という「水に恵まれない場所」で、かつ農地として利用できる土地が少ない「島という環境」で発達してきた効率的な水利用や資源循環などの独創的で伝統的な知識システムです。また、水稲・たまねぎ・畜産の生産を小規模集落内で連携させ、互いに生計を保証する点も世界的にも珍しく、専門家会議からも一定の評価をいただきました。

次は11月に現地調査、1月に二次審査(プレゼン)となります。日本農業遺産の認定に向けて地域一丸となって取り組んでいきます。



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