兵庫県立淡路景観園芸学校、兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科の主催による景観園芸国際シンポジウムを令和7年9月12日(金)、神戸市中央区のラッセホールにて開催しました。
「One Healthをめざして 健全な緑地と人の健康」というテーマに基づき、3名の演者による講演と討議を行いました。
本学の沈国際部長によるシンポジウムの趣旨説明の後、東京大学大学院農学生命研究科の曽我昌史准教授による「人と自然のかかわりと生物多様性保全」と題した講演が行われ、自然とのふれあいによる人の健康への効果および生態系保全に対する態度や行動への影響についてお話しいただきました。

続いて、韓国の建国大学大学院バイオ&ヒーリング融合部門のSin-Ae Park教授からは「Plant-Mediated Therapy for Human Health(人の健康に寄与する植物を媒介とした療法)」の講演がありました。植物を媒介とした療法の定義と背景理論、韓国における活用の実際についてお話しいただいた後、研究紹介として土壌微生物が人の精神的安定につながる可能性があること、デジタルツールの活用による効果などについて話題提供がありました。

最後に、本学の美濃伸之教授から「緑の空間と包摂性」と題した講演が行われ、社会的包摂という語の定義や近年の動向、緑の空間の包摂性として、ユニバーサルデザインの実例紹介、ハード面が充実してきつつある一方で、ソフト面の不足といった課題について問題提起されました。
討議では、本学の柴田昌三学長が進行役となり、講演の内容を深めていきました。
生物多様性保全に向けては、自然とのふれあいの機会を持つことが大事ということが明らかになってきた中で、自然環境が身の回りにあるかどうかよりも、自然との関わりに対する意欲の高さが重要であること、韓国ではPark教授らによる長年の研究の成果が政府に認められ、大型の予算を獲得するに至ったこと、国家資格が作られたこと、2027年にアグロヒーリングに関する巨大なセンター施設が出来上がる予定であることなどについて話が広がりました。
当日は90名近くの方にご参加いただき、盛会のうちにシンポジウムを開催することができました。今回はみどりと健康に関するテーマにて議論を深めましたが、次年度からスタートする新しい園芸療法課程のあり方に大いにエールをいただいたシンポジウムとなりました。
今回、都合によりご参加いただけなかった方、参加したけれどももう一度講演を聴きたいという方に向けて、期間限定にて一部の講演と討議を配信いたします。ぜひご覧ください。
ランドスケープの新潮流セミナー 景観園芸国際シンポジウムOne Healthをめざして 健全な緑地と人の健康(動画)
下記講演を動画でご視聴いただけます(視聴期間:2025年10月31日まで)