(学校報2013年より) 園芸療法課程修了生の声

 

 私が本校を卒業してちょうど4年が経ちます。入学を機に淡路に来て、就職もそのまま南あわじ市の病院にしました。当院では私が初めての園芸療法士であり、ほぼ一からのスタートとなりました。粗方の業務内容は関連施設で勤める先輩方に教えていただき、それを基に自身の業務内容を確立していきました。
ただ、悩みもありました。1年目の頃は時間のなさ、業務の確立に大方の時間を使っていたので当然ですが、加えて周辺のグループ施設へ出張するようにも言われていたため、一人の患者様にじっくりと関わる時間が持てないことが悩みでした。そのころはより必要性の高い人や他職種から依頼があった人に絞って関わるようにしていたと思います。
 
 2年目の頃の悩みは花壇の有効利用についてでした。敷地内に地植えできるスペースが元々あったのですが、ずっと放置されていたために雑草だらけになっていたり、石ころだらけであったりと、とても花を植えられるような状況ではありませんでした。そこでちょっとでも空いた時間に少しずつ除草や篩い掛けを行うことで本来の姿に戻りつつあります(これは現在も継続中)。
 
 3年目の悩みはグリーンカーテンについてでした。折しもこの時期は全国的にグリーンカーテンが流行った頃で当院もその流れに乗るかたちになったのですが、問題は用意する数の多さ。物品調達に奔走し、植え付けの段取りを各部署で調整し、成育中の管理も一手に担うことになったので、四六時中ゴーヤのことを考えていたように思います。
 
 そして4年目となった今年度。遅ればせながら、私の園芸療法士としての関わり方のスタンスをやっと確立することができました。それは一言で言うと“直接介入”と“間接介入”を大きな柱とする考え方です。直接介入とは私自身が患者様に直接働きかけることで提供できるものを指し、間接介入とは周囲に花やみどりを置くことによって患者様に働きかけることや、それに感化された職員が患者様に働きかけることで得られるものを指します。加えて園芸療法での取り組みや植物に関する豆知識を掲載したミニ新聞をつくり院内で掲示・配布するようにもしました。私が直接できることには限りはありますが、他人を介したり他の媒体を用いたりすることでもたらされるものは如何様にも広がることができると思うからです。
 
 私はこれまでこうした足跡を辿ってきたわけですが、一人職場であるにも関わらず今まで続けてこられたのは、同期入職の仲間の支えがあったからです。福祉職から医療職へ転職し、何かと勝手が違うことに戸惑っていた私に一から教えてくれたのは彼らでした。また仕事以外でも喜怒哀楽を共にし、互いの分野で切磋琢磨しながら過ごした時間は大変貴重なものであり充実していました。
今ではみんなそれぞれの目標を持って違う場で活躍しているため以前を懐かしく思うことがありますが、幸い昨年には家族という新たな支えを得ることができました。どの仕事もそうかも知れませんが、園芸療法士という仕事は周囲の人の支えがあって初めて成り立つのだと最近特に感じます。

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