(2021年学校報より)園芸療法課程(通学制)を修了して

はじめに

私の趣味はガーデニングです。きっかけはバラの苗を1鉢買ったこと。葉も花も無く一本の木にしか見えなかった苗が、春になると枝が出て葉を出し、驚くほど美しい花を咲かせます。花が終わり葉を落とし木に戻り、また同じサイクルで成長していくバラの魅力にすっかりとりこになりました。バラと一口にいってもたくさんの種類があることを知り、バラと一緒に育てる他の花は何がいいのか、株元にはどんな花を咲かせるとバラがさらに美しく見えるのか、また、バラの花が咲いていない時期はどんな花を植えれば一年中花に囲まれた生活をおくることができるのか、などと考えるようになりました。そしてバラだけではなく、色々な植物を育てることにも興味がわいてきて、2人の男の子の子育て中に家族を巻き込んでのガーデニングライフが始まりました。なぜ、庭仕事をしていると時を忘れて没頭できるのか。なぜ、植物や土に触れていると優しい気持ちになるのか。香りで気分が華やぐのはなぜか。植物には私たち人を癒す不思議な力があることを実感し、植物のことをもっと知りたい、植物の持つ力をもっと勉強したいという気持ちは高まるばかりでした。子育てが落ち着き、長男の嫁として家族の介護の問題が目前に迫る中、生涯出来る仕事をと思い、介護の仕事に就きました。ある日淡路島の植物園を訪れたとき、ふと目にしたパンフレットから植物で人を癒す園芸療法士という資格があることを知り、家族を説得し園芸療法課程通学制に入学しました。

淡路景観園芸学校での2年間

全国から集まった実に多様なキャリアをもつ20代から60代の幅広い世代が共に学ぶ教室でしたが、同じ志を持つ仲間としてすぐにニックネームで呼び合う仲になりました。講義内容は多岐にわたり、さまざまな分野の専門家から受ける講義は大変興味深く、入学前に私が感じていた植物に対する疑問にも、きちんとした科学的根拠に基づいた答えがあることがわかり、勉強することの楽しさを感じました。慣れないパソコン操作を息子に教わったり、睡魔に勝てず、夜明け前に起床して課題に取り組んだり、大変な思い出もたくさんありましたが、気の合う仲間たちと過ごす時間、久しぶりに味わう学生生活はとても充実していました。そして、いくつになっても、やる気と実行力さえあれば成長出来ることを実感した2年間は私の何よりも貴重な経験となりました。そして、素晴らしい仲間たちに恵まれたことは、かけがえのない財産となり、今も機会があるたびに情報交換し、切磋琢磨しあっています。

修了後の活動

訪問介護の仕事を続けながら、高齢者施設や特別支援学校で園芸療法士の資格を活かした活動を少しずつ増やしてきました。また、気の合った仲間と共に様々なワークショップを定期的に行ってきました。さらに、園芸療法士としての仕事の幅を広げたいと思い、園芸療法に限らず、薬膳他、さまざまな周辺分野の勉強もはじめました。なかでも、食の分野で植物の持つ力は偉大であることに注目しています。人の知恵と歴史の結集である薬膳は非常に奥が深く、さらに勉強を続けて仕事に活かし、そして園芸療法の発展にもつなげていきたいと思っています。

これから

コロナ禍で訪問の園芸療法活動をすることが難しくなったことと、また、家族の介護で外出が難しくなったことから、園芸療法課程で共に学んだ仲間の協力を得て、園芸療法に特化した地域密着型のデイサービスを令和4年の4月に神戸市東灘区で開所することにしました。
~「デイサービス フルール」 四季の花々と共に憩いのひとときを~
デイサービスのキャッチコピーです。フルールはフランス語で“花”という意味で、植物を介してデイサービスの利用者、地域の方々へ、植物の魅力を伝えていきたいと思っています。また、園芸療法士として、最新の研究成果の実践の場として、園芸療法の普及と発展に尽くしたいと考えています。

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