3.カツラ
学 名:Cercidiphyllum japonicum
科 名:カツラ科
原産地:北海道~九州
植栽場所:カフェテリア「風の詩」
今回は、爽やかさと甘さを兼ね備えた樹木・カツラを紹介します。
カツラの特徴の一つであるハート形の葉は、とてもやわらかくて触り心地バツグンです。
そして、若葉のような鮮やかな黄緑色が、ほかの樹木にはない爽やかな印象を与えてくれます。
そんな黄緑色の葉も、秋が近づいている今の季節は黄色に変わっていきます。
カツラは渓流沿いに生えるような水好きな樹木なので、
水が少ない場所では他の樹木よりも早く黄葉や落葉が始まるそうです。
黄葉し始めたカツラに近づくと・・・・・
なんともあま~い香りが!!
カツラは黄葉した葉や枯葉から甘い香りがします。
香りはとても強く、
木に近づくだけで香ってくるほどです。
図鑑によって、みたらし団子や醤油など香りのイメージは様々ですが、
私はカラメルソースを焦がしたような匂いに似ていると思いました。
この香りの正体は、「マルトール」という 糖類が熱分解されたときに生成される有機化合物です。
これは、カラメルなど砂糖を熱したときにも生成されます。
つまりカツラの葉の甘い香りは、カラメルの香りそのものなんです!
この香りは、不思議なことに葉が緑色の時には全くにおいません。
また、黄色の葉よりも枯れた茶色い葉の方が 甘い香りは強くなります。
ですので、葉が緑色から黄色、黄色から茶色に変化する際に
マルトールが作られているのではないかと考えられています。
皆さんも秋にALPHAガーデンを訪れた際は、カツラの甘い香りを楽しんでみて下さい!
「文化の中のカツラ」
カツラは山地の渓流沿いに自生する落葉広葉樹です。
高さは、普通5~15mくらいですが、成長すると40mにもなります。
兵庫県には、天然記念物に指定されるほどの大木が各地にあります。
その中の一つ、香美町にある兎和野の大カツラは、
30mもある見上げるほど大きなカツラとその根本から流れる水しぶきが圧巻です!
〈参考①:朝日園芸百科 朝日新聞社〉
〈参考②:都市の樹木 433 岩崎哲也〉
〈参考③:カツラの葉のマルトールと糖成分の研究 高石清和、河原有三、池辺克彦〉
〈参考④:香美町 兎和野の大カツラ〉