5.ヤツデ
学 名:Fatsia japonica
科 名:ウコギ科ヤツデ属
植栽場所:エルフガーデン、教職員駐車場
いつもは大きな掌状の葉っぱが目立つヤツデですが、この時期は、小さい花が多数付いている時期です。今回は、そんな葉との印象が異なる、かわいらしい花をつけるヤツデを紹介します。
ヤツデは、本州茨城県から九州までに分布する常緑低木樹です。植栽地は日陰が適地ですが、あまり植栽場所は問いません。なので、茶庭などの庭木や公園樹としても、広く植栽されています。
高さは、1.5m~3.0mになり、大きいものは5.0mほどにもなります。
ヤツデの特徴というと、なんといっても大きな掌状の葉っぱです。天狗が持っているうちわにとても似ていますね。葉は深く7~11裂する掌状の形をしていますが、筆者は、葉が8裂したヤツデを見たことがありません。ヤツデ(=八手)という名前がついているのに、なんだか不思議ですね。
ヤツデの花期は、11月から12月にかけて、無数の白い花を咲かせます。また、雄性先熟という、先に雄花がつき、そのあと雌花になる、面白い花の特徴をしています。確かに、下の写真のように雄花と雌花の形がちがいますよね。ちなみに香りはゴムっぽい香りがして、雌花よりも雄花のほうが、香りは強めに感じました(筆者の意見)。この香りに引き寄せられてハエ目やアリ目の虫が蜜を吸いにやってきます。実は、春に花がそのまま黒く熟します。
葉は鱗片状で対生につき、枝が縦につきます。また、葉の表裏は一目で区別できません。この「表裏がわからないこと=二様または両面にあること』に由来して、『児の手柏の二面(このてがしわのふたおもて)』というたとえ・古歌にも使われています。
葉に目がつきやすいヤツデですが、かわいらしい白い花を今の時期に是非ご覧ください。
ヤツデの雄花 ヤツデの雌花
ヤツデの葉は、民間薬として葉を乾燥させ、鎮咳、去痰のために服用し、リューマチには浴剤として用いました。多く摂取してしまうと、下痢、嘔吐、溶血などの障害がでます。
<文献資料①:濱野周泰(2005),原寸図鑑 葉っぱでおぼえる樹木,柏書房>
<文献資料②:上原敬二(2012),樹木ガイドブック,朝倉書房>
<文献資料③:岩崎哲也(2012),都市の樹木433,文一総合出版>