5. マンリョウ
科名:サクラソウ科
属名:Ardisia crenata
分布:関東地方南部~沖縄
植栽場所:玄関前
宝石のように輝いている実が目立つ今の時期。花だけが華やかさを演出するわけではありません!
マンリョウです。マンリョウはサクラソウ科の常緑低木です。
もうひとつセットで、センリョウという名前の植物をよく聞きますよね。
センリョウはセンリョウ科の植物であり、マンリョウとは科から異なる植物です。
マンリョウは正月から年明けの1月にかけて赤い実を結実させます。そのため、正月飾りや、めでたい植物として扱われる一面も持ちます。
初夏には白くささやかな花を咲かせます。
どうしても「正月!赤い実!」というイメージが強いマンリョウですが(ボクだけでしょうか)、初夏に花を咲かす、マンリョウの姿も楽しんでみてください!
お間違えなく。写真はセンリョウ。
“クローズアップ「実と種」”
マンリョウの実と種についてクローズアップしたいと思います!マンリョウは12月から1月にかけて、赤く光沢のある核果を結実させます。センリョウとの違いにも触れますが、マンリョウの実は小果柄からぶら下がるように「下向き」に結実させるのに対し、センリョウは果柄に直接、房状に結実させます。そして実のなる方向は「上向き」となります。果実の大きさや、中に含まれる種の大きさについても異なります。下の写真、左がマンリョウ、右がセンリョウです。ミクロな視点で見ると、全くの別物ですね!
マンリョウの実(写真左)。実も種もセンリョウより大粒。小果柄と実の結合部は星型!
センリョウの実(写真右)。種はひとつの核果にひとつで、小粒。
マンリョウ(万両)やセンリョウ(千両)という名は、実のなるその姿や数を「金」になぞらえたことからあてられた名前だとされています。ちなみにアカネ科にはアリドオシという植物があり、これは「一両」と呼ばれるとのこと。また、マンリョウと同じサクラソウ科に、ヤブコウジとカラタチバナという植物があります。前者は「十両」と呼ばれ、後者は「百両」とも呼ばれるとのこと。…じゃあアリドオシではなく「イチリョウ」、ヤブコウジでなく「ジュウリョウ」、カラタチバナではなく「ヒャクリョウ」じゃないの?!と思うのはボクだけでしょうか。
参考文献:
- 林将之(2010)FIELED GUIDE23「葉で見わける樹木」.小学館,東京,80pp.
- 北村文雄・巽英明・妻鹿加年雄(2001)NHK趣味の園芸「樹木図鑑」.NHK出版,東京,54pp.