平成29年12月12日(火)、カナダのナイアガラフォールズ市にあるナイアガラ園芸学校で 2週間のインターンシップを終えた学生2名(研究科8期生2年 滝本孝一さんと山本あゆみさん)の学内向け報告会が実施されました。当日は関係者や学生が出席しました。
本校とナイアガラ園芸学校は1999年に姉妹提携に関する覚書を締結し、その後、短期相互研修生の派遣などを通して、相互理解と友好を深めています。
ナイアガラ園芸学校は、世界的な観光地で知られる“ナイアガラの滝”周辺の公園(ナイアガラパークス)を管理するナイアガラ公園協会の中にあります。広大な面積のナイアガラパークスの中には面積34haの植物園があり、園芸学校の生徒がこの植物園を授業の一環として栽培管理し、本校からの留学生も ここをフィールドとして生活しながら、現地の学生と共に授業や園芸作業に参加します。
二人はそれぞれ授業や作業に従事しながらカナダの自然や生活を楽しんできたようです。
<報告会の要旨>
発表者:研究科8期生 2年 山本あゆみさん
滞在期間:2017年9月29日~2017年10月14日
平日は、夏花壇から秋花壇への植え替え作業等様々な作業を中心に行い、時々、授業に出席した。植え替えでは、基本的な園芸の知識が求められたが、学校の講義で学んできたことが役に立った。作業は毎日大変だったが、先生が「Good job!」と、かなりほめてくれたのでストレスは少なかった。学んだことを実践すれば評価されると少し自信がついた。授業では 淡路景観園芸学校の授業と似たフィールド観察・演習があり、草本は1年生、木本は2年生の授業だった。私達が受けたものと同じような同定テストがあり、授業がある度にテストが行われるため大変そうだった。草本の授業では シェードガーデンに使える植物について説明があり、ホトトギスやハマギクなど日本にある植物の説明があると、先生がこちらに質問をされるので緊張感があった。木本の授業では ランドスケープ上、どのような場所で使うか等専門的な説明があって大変面白かった。土壌学や昆虫学の授業にも参加した。ランドスケーププランニングの授業では、個人の住宅の庭の設計やリノベーション中の家の庭などで実際に施主の要望を聞き取り、設計を行う実践的な内容だった。
学校の図書室は充実していた。図鑑で調べたブナの品種が学校にあるか尋ねたところ、直ぐにパソコンで調べてくれた。ナイアガラ園芸学校内の植栽はすべてデータ管理されていることを知って驚いた。他に、2000年に淡路市で開催されたジャパンフローラに出展した「カナダガーデン」に関する展示室を見せてもらい感激した。
学校の敷地内の看板では、「ツヤハダゴマダラカミキリ(カナダでは外来種)」によるカエデ
属等多様な樹木への被害や、「アオナガタマムシ(emerald ash borer、カナダでは外来種)」によるトネリコ類への被害に関する注意喚起をしており、カナダにおける外来種被害の状況を伺い知ることができた。
学外の環境や観光についても報告があった。ナイアガラ園芸学校の敷地や周辺地域には、シカ、キツネ、リス、鳥等の野生動物を見ることができた。秋らしく木々の葉が色づき、色鮮やかな木の実がなっていた。また、トチの実やドングリ等のタネもたくさん落ちていた。
周辺には、アイスワインの産地や、ナイアガラパークウエイ、ダッファリング島、ナイアガラグレン自然保護区(ボルダリングのスポットがある)など見所も多い。
発表者:研究科8期生 2年 滝本孝一さん
滞在期間:2017年7月29日~2017年8月11日
夏季休暇の最中であった為、多くの学生が学校を離れていて、校内に残る学生(7~8名)とスタッフで作業をスタート。ナイアガラを楽しむには最高のシーズンだったが、研修としては、外したほうがよいかもしれない。
作業はすべて、現場リーダーの指示で行われ、広大な敷地を無線で連絡をとりながら効率的に進められる。機械でやれるところは機械を活用し、非常に合理的にやっていると感心した。スタッフは 素朴、気さくで、ユーモアと協調性があり、高い職業意識を持っているように感じた。「ここで学んで、将来何をするか?」「ここに来た理由」が重視され、滞在期間中に年齢を聞かれたこともなく、多様性を受け入れている風土、「成熟した国」という印象を受けた。学生は、「卒業後、園芸を職業とする」という目的意識をはっきり持っている。職業訓練校としての位置づけが明確な学校で、多くの学生は 大学もしくは関連の専門分野を学んだ後に、実践の場を求めて入学している人が多い。通常、作業は、午前7時から始まり15時30分に終了。夜は21時でも明るく、作業終了後も十分な時間があり、ONもOFFも充実感が高い。草野球を楽しめる球場が複数あり、卒業生やその家族、友人など地域の人たちで楽しんでいる。週末は、暖炉に集まってお酒を飲むなど豊かな感じがした。「園芸学校は、ナイアガラパークスの一つ」という位置づけが明快。ナイアガラ園芸学校とナイアガラパークス内の施設のユニフォームが統一されており、「組織的にも意識的にも徹底されているところが素晴らしい。パークス内には見所も多く、観光施設としての魅力づくりも徹底している。大自然を感じられる「Trail」(自然歩道)はおすすめ。
留学研修は、好奇心とコミュニケーション力のある人や高めたい人には、是非オススメ。但し、研修カリキュラムが、最初からきっちり組まれている訳ではないので、待ちの姿勢でなく、自分から「こんなことを学びたい」と発信していくことが求められると思う。
二人の発表の後、園芸作業の様子や、日本とカナダの植物、生活の違いなどについて、予定時間ギリギリまで活発に質問が出されました。