研究科の教員と2年の学生の有志は、『淡路島ちどり隊』の隊員として活動しています。『淡路島ちどり隊』は、地域主体の海岸の環境保全を目的として、シロチドリをフラッグシップ種に掲げ、淡路島の地域の方々とともに、2021年に研究科12期の原彩菜さんによって結成されました。

先月4月はその活動の一環として、保護エリア設定のための杭打ち活動を行いました。海岸には多くの機能がありますが、その一つとして、シロチドリなどの鳥類にエサ場や営巣地を提供している場合があります。それと同時に、よく知られている通り、地域住民や観光客の皆さんが楽しむ場でもあります。これらの二つの機能をうまく両立させるための工夫として、毎年シロチドリの営巣の時期が始まる頃に、海岸で杭打ち活動を行っています。

一年の中のシロチドリの子育ての期間中、数十本の杭をおよそ等間隔に設置して四角形を描くことで、海岸内で、シロチドリの営巣用の空間と人が楽しむための空間を明確に分けることが目的です。しかし、杭が設置されていても、その目的が伝わらず、シロチドリの営巣地に足を踏み入れてしまう方がいらっしゃったり、杭が人間の活動の邪魔になってしまうという考えもあったりと、課題があります。また、二つの空間の境界をよりはっきりとさせるために、杭と杭の間にぐるりとテープを張ったこともありますが、そうするとシロチドリを警戒させてしまうおそれもあります。

このような課題をはじめ、淡路島でシロチドリを守る活動を取り巻く課題を少しでも解決するため、研究科2年の実践演習を良い機会として試行錯誤している学生もいます。

杭打ち作業は、無心に取り組むことができて、何本も打っているとだんだん効率的に打てるようになり、充実感があります!杭打ち活動や、その他の活動の前後には、みんなで双眼鏡をのぞいてシロチドリを観察したり、海浜植物や漂着物を観察しています。地域の方々とわいわい交流しながら、海岸という環境について知識を深めることができます。

「淡路島ちどり隊」に興味を持たれた方、特に学生の皆さんは、一緒に活動してみませんか?

研究科15期生 岩﨑薫子
緑環境景観マネジメント研究科 教授 藤原道郎

海岸に杭で四角形を描く。全体をみんなで確認し、位置を決めてからそれぞれの杭を打つ。


杭を打ち込み始めるときは、掛矢(かけや)を短く持って、コツコツと叩き、杭が大きくずれないように固定する。


杭で区切った営巣エリアの中に座り、こちらを見るシロチドリ。


地域住民の方に杭の意味を説明する看板も立てる。看板の内容を充実させることに取り組んでいる学生もいる。 杭打ち活動後は、千鳥隊隊員の地域の方のお宅で、楽しくお話をしながらお茶をいただきました。
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