ここ最近、米国の植物園内には子どもの自然遊びや環境学習などをテーマとしたチルドレンズ・ガーデンが多く整備されています。具体的には2015年に整備されたブルックリン植物園のディスカバリー・ガーデンや、2017年に整備されたシカゴ植物園のラーニング・キャンパスなどが挙げられます。今回の記事では2018年度に訪問した6つのチルドレンズ・ガーデンを通じて、米国での自然体験や環境の特徴を紹介したいと思います。

 まず、どのチルドレンズ・ガーデンにも見られるのがハンズオン展示で、園内で集めた種などの自然物をケースに入れて他者に紹介する参加型の展示(写真1)や、許可された場所の草花や枝葉を用いて自由に遊ぶスペース(写真2)、落ち葉の中に隠れているコオロギを探す展示(写真3)など、実際に手で触れて体感しながら学ぶ展示が随所にみられます。年齢が低くなればなるほどこういった体験型の学習環境は重要です。さらに親から子へクイズを出すような説明書きがあるなど、子どもだけでなく親子での体験となるような仕掛けも見られます。環境学習のプログラムは子どもが主体であることが多いですが、親子での体験とすることで大人も楽しむことが出来たり、親子関係が豊かになったりする効果があるでしょう。

また使われている植物は、オークなどの遊びに使われる植物、ラズベリーなどの食体験に使われる植物、アメリカハナノキなどの季節感のある植物、コルヌスやキササゲなど色や形状が面白い植物が多用されています。さらにバタフライ・ガーデン(蝶の庭)やビー・ガーデン(蜂の庭)など、動物を誘引する植物を集めたスペースも多く見られ、虫取りをして楽しむだけでなく、動物と植物の関係を学ぶことも出来ます。このように子どもたちの遊びや学びに使う植物や、心身の成長に貢献する緑を使用していることも1つの特徴です。

その他にもシカゴのラーニング・キャンパス内にある学習センターは、建物内の光環境の実に90%が自然光を採用していたり、建築資材の95%がリサイクル可能であったり、ランドスケープも地域に自生する植物種を用いてデザインがなされていたりと、建物自体も環境学習の教材として機能しています。色んな仕掛けが折り込まれたチルドレンズ・ガーデンですが、何よりも訪れるだけでワクワクするような環境がそこにはあります。


(写真1)ブルックリン植物園のディスカバリー・ガーデン
(写真2)ミズーリ植物園のチルドレンズ・ガーデン
(写真3)ブルックリン植物園のディスカバリー・ガーデン

 

 そんなチルドレンズ・ガーデンを県立播磨中央公園に作ろうと、研究科8名(浅尾菜月、川尻優、蔡昊峰、蔡盟、石佳、續佳せん、松本祐季、吉武佳穂)がランドスケープデザインに取り組んでいます。ハンズオン展示、ベアフットパス、レイズドベッド、粗放管理の菜園など、多様な子どもたちが五感をフルに活用して遊ぶ(学ぶ)ことが出来る環境、鳥の巣やツリーハウスなど自然に抱かれる装置、隣接するバラ園に訪問する高齢者と子どもたちが交流する施設などが提案されています。兵庫県公園緑地課や実施設計を担うコンサルタントの方々など、多様な主体と連携しながら、学生が実際の公園をつくる機会にもなっており、本校らしい取り組みとして注目されています。



 

フィールドワークの様子

 

はりちゅうチルドレンズ・ガーデンのイメージ

 

 

 



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