今回はユニバーサルデザインと情報との関係について考えてみようと思います。

公園などの緑環境においては、地形や歴史文化との兼ね合いでオーソドックスなバリアフリー整備が難しいケースが多々あります。このような場合、情報が大変に重要な役割を果たします。ここでは、重要となるポイントを2つ紹介したいと思います。

1つ目は、マイナス面を伝えることの大事さです。写真1は札幌市郊外にある国営滝野すずらん丘陵公園。車いすユーザにとっては致命的な階段や傾斜、路面の状況が丁寧にサイン等で表示されています。

写真1.国営滝野すずらん丘陵公園におけるバリアフリー情報の提供例


マイナス面の表記は一見するとネガティブな印象を与えますが、末端ユーザからすると実は大変にありがたいのです。例えば、この駅にエレベータが(ない)という情報と(ある)という情報を比べてみましょう。(ない)ということを言うには、駅の出口すべてを調べきってはじめてわかることである一方、(ある)というほうは、どの出口にあるのか、はたまた近いのか遠いのかなど付帯情報が必ず必要となってきます。このように、(ない)(行けない)などのマイナス情報はプラス情報よりも情報量が多いため、末端ユーザからすると実は大変にありがたく、最近のいわゆる観光バリアフリーマップなどでは、このようなマイナス面が丁寧に描かれていることが多くなりました。

2つ目は活動や参加の可否を伝えることの重要性です。写真2は、米国カリフォルニア州立公園のバリアフリー情報サイトです。国内でバリアフリー情報と言えば、トイレ、駐車場などモノに関わる情報に終始することが多いですが、このサイトでは、(どのような活動)が(どの公園)でできるのかを検索ができるようになっています。

写真2.米国カリフォルニア州立公園のバリアフリー情報サイト


カリフォルニア州はユニバーサルデザイン発祥の地であることや、それを判定する基準がある程度定まっているなど、米国特有の事情があるにせよ、利用者にとっては活動が選べて大変にありがたいです。国内では、このような取り組みはまだ少ないですが、国営海の中道海浜公園では似通った情報開示を試みています。

 

写真3.国営海の中道海浜公園における遊具に関するバリアフリー情報提供


ユニバーサルデザイン情報が抱える課題としては、どうしても限られた利用者を対象とせざるを得ないため、情報の適切さ確保やその定期的な更新が、労力やコスト、管理者の動機づけの観点から難しいことが挙げられます。最近ではインターネット上の情報量が増え、情報が掲載されていたとしても、そこまでなかなかたどり着けないこともしばしば。一方で、SNS上での口コミや動画投稿サイトなどはいまとなっては貴重な情報源となっています。

ここ最近、国立公園でのユニバーサルデザイン事業のお手伝いをするようになった関係で、あちこちのビジターセンターを訪問する機会が増えました。行くまではなかなか情報が得られないのですが、行ってみるととても充実した整備がなされていることが多く、こういった良いところがもっとみなに知れ渡れば良いなと感じることが多いです。写真は伊勢志摩国立公園の横山展望台。車いすの私でもこのような素晴らしい眺望が楽しめます。何よりも良いなと感じるのは景色をみながら展望スポットまで上がれるので、ほとんどの方がスロープを使われるところで、まさにみなに優しい設えになっています。

写真4.伊勢志摩国立公園の横山展望台


昔は、バリアフリー情報を載せさえすればよいと考えていましたが、いまやそれでは事足らずで、どのように利用者のもとへ届けるのかをあわせて考えなくてはならなくなりました。情報があふれかえる社会でのバリアフリー情報はその在り方そのものを考え直さなくてはならないのかもしれません。

以上。

 



 

 

 

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