皆さんは、「地域」とはどこまでのエリアを指すと思われますか?

私たちの教育研究機関である淡路景観園芸学校や兵庫県立大学の緑環境景観マネジメント研究科は淡路島にあります。
淡路島は「淡路市」、「洲本市」、「南あわじ市」などから成り立っています。
淡路の人は、淡路島を「地域」と考えると同時に、きっと自分たちの集落やまちもやはり「地域」と思っておられるでしょう。
ちなみに私は神戸に住んでいます。もう少し小さい範囲でいえば天神山と呼ばれた地域に住んでいます。
「地域」を一言で説明するならば、ある一定の地理的或いは社会的なまとまりのある区域を指していると言ってもよいのではないでしょうか?

地域では様々な歴史や文化があります。

淡路島では、江戸時代に「社日さん(しゃにちさん)」と呼ばれる農業の神様がそれぞれの集落に祭られるようになりました。集落の中には、「社日さん」以外にも、「観音さん」、「弁天さん」、「恵比寿さん」など様々な祭祀空間がまだ守られており、周囲は草を刈ったり、樹木を切ったりしながら、管理されています。年に数回の祭りの日には、老若男女が様々な催しに参加して、相撲や芸能なども楽しまれてきました。

このような空間を守ってきたのは、「人」です。地域の人々は、長年祭祀空間を守りながら、農業の話をしたり、地域をどのようにしてよくするかなどの話をしたり、交流を深めてきたりしました。
古くから伝わっているこのような慣習は、さりげなく、でも確実に地域の景観を守り育ててきました。あるものは女性たちの手で、あるものは男性のみで、そして老若男女が皆で関わって、このような祭祀空間を守ってきたのです。

私たちは、このような見過ごしがちのありきたりの生活の中で守られてきた空間や美しい景色をもう一度見直して、将来につなげていく必要があるのではないでしょうか?

(↑左:「淡路島」(1999)淡路島写真集編集委員会)
(↑右:社日さんの祭り(新田佳代氏 提供))


都市では、このような古い歴史的な祭祀空間などはよほど規模の大きなもの以外は失われがちになってきました。でもまちの中でも、「公園」や「みどり」が人々のつながりを育てたり、生き物に対する親しみや畏敬の念を育んでいます。

美しいみどりや花たち、そこで楽しげな人々、まちの中で、地域の中で幸せな光景がみられるとき、この仕事に携わっていて良かったと実感します。 地域、人、まち、そして緑をつなげていくことが私たちの仕事です。

(↑左:桜の花咲く公園のにぎわい)
(↑右:公園を説明するボランティア(NZ))

 

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