首藤 健一

淡路島では、淡路島公園、淡路佐野運動公園、あわじ石の寝屋緑地という3公園の県立公園事業を行っており、県下でも公園工事の多い地域です。淡路島公園は、ハイウェイオアシスという一部SA機能を備えたエリアの他、桜やアジサイなどの花を楽しみながら散策できるエリア、子供達が遊具等で遊べるエリアなど比較的バラエティーに富んだ造りとなっています。淡路佐野運動公園は、高レベルなグラウンドを有するサッカー場、野球場を備えたスポーツ施設中心の公園となっており、また、あわじ石の寝屋緑地は、緑地保全をメインとした公園となっています。

淡路佐野運動公園
淡路島公園


これら3公園とも、淡路島の洲本土木事務所というところで、公園工事を行っていますが、そもそも公園工事を含む公園を造るということ(公園事業)については、一般に道路や河川工事ほど見かけることも少ないので、あまりなじみのないことと思います。ここでは、兵庫県の場合を事例として、公園事業の流れを追ってみます。 

公園事業というのは大まかには、調査・計画 → 設計・積算 → 工事実施といった流れに集約されます。兵庫県の場合、大概主担当の職員が複数の現場をかけ持ちながら、この基本的な流れに沿って事業を行います。設計の前には準備段階として、公園基本計画、都市計画、用地買収、予算、工事内容等について、地元住民との調整の他、国や市との調整が必要となってきます。公園の基本的な計画については、県では参画と協働ということで、住民等を交えた協議会等で様々な議論を経て、公園基本計画案を作成し、設計に反映するという方法が最近の主流となっています。様々な調整が整い、順調に設計が出来、予算も目処が立ったところで、ようやく積算及び工事発注となりますが、大きな公園の場合は、数年以上の工事となるため、いくらかゾーンを区切って毎年少しづつ工事を行っていきます。工事にあたっては、設計図面を基に、実施したいと思う工事の内容に一体いくらの金がかかるか、予算を念頭におきつつ、細かい積算をしながら工事範囲を決めていかなくてはいけません。工事を行う範囲が決まったところで、いよいよ工事発注です。工事発注は、入札にかけられ、複数の工事業者が競い合うこととなります。入札で業者が決まれば、契約、工事着手となります。工事においては、発注者側が現場監督として、施工業者側が現場常駐の現場代理人として、互いに様々なやりとりを行いながら、工事を進めていきます。公園の場合、造成工、雨水排水工、上下水道工、電気設備工、擁壁工、園路工、トイレ等建築設備工、スポーツ施設工、植栽工など多種多様な工種があります。それぞれの工事においては、設計上の基準、工事施工上の基準等があり、それぞれの基準に従って現場監督は指示等を行っていくこととなります。公園というと植栽がメインというイメージがありますが、実際には土木工事や設備工事などの占める割合(予算も手間も)が大きく、なおかつ工種も多いのが特徴です。また、公園工事の場合は、デザインや周辺の景観との調和などを重視することもあり、構造物のおさまり等細かい部分で多くの設計変更が生じてくるのも特徴といえます。紆余曲折を経て、工事が無事に完成したとしてもこれで終わりではありません。様々な検査が待っており、これらを無事クリアーして、ようやく事業が終わりとなります。

あわじ石の寝屋緑地
園路工事


これが、簡単な公園事業の流れですが、公園も近年では、新規公園整備より、老朽化に伴う公園修繕、リニューアルが大きなウエイトを占めつつあり、公園ごとに長期修繕計画等を策定し、これに基づく維持・修繕管理が求められてきています。

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