私事ですが、2023年度は偉大なる谷村新司さん、そして著名人の数々といった多くの方々との別れが多かったように思います。また3月には故郷の父を送り、アリス『遠くで汽笛・・』やいきものがかり『帰り・・』の歌詞が連日頭の中でリフレインする虚無感のなかで終わる忘れられない年度になりました。そして迎えた、輝かしい2024年度。

新たな年度にふさわしく、今年は『髑髏蛾、骸骨蛾』のお話から。
淡路景観園芸学校では、皆さんも運が悪ければ、この人面蛾を見ることができます。


通称『ドクロ蛾』は、世界に3種類いるようです。スズメガの仲間で、日本にはメンガタスズメとクロメンガタスズメの2種類が生息しています。映画『羊たちの沈黙』のカバーはヨーロッパメンガタスズメの成虫と思いますが、次々と死体の口、そしてアンソニー・ホプキンスさんが口に入れた蛹がそうなのかは分かりません。




これらは、胸部背面に大きな人面模様(写真)があることが識別点で、一番の特徴は、出会った時の存在の大きさです。成虫も幼虫も身体が大きい。そして、重たい。成虫は体長7cm以上、幼虫は10cm近くにもなります。
さらに、つかむとキーキーと泣きわめく。
ミツバチの巣を壊して盗蜜するらしい。
もともとは九州南部以南の南方系といわれ、温暖化の影響で北に生息域を広げているといわれている昆虫です。
(よく噂になる温暖化の影響というのは本当なのか、何が原因なのかをじっくり考えると良いです。詳しくは環境再生医第4版(自然環境復元協会編)をご覧ください。)


人面のデザインは、体の尾部側が口です。メンガタスズメよりもクロメンガタスズメのほうがやや黒く、口がピエロのように幅広く波打ち、目もピエロのように目じりが下がっている傾向があると思います。一方、メンガタスズメの人面は、ピエロではなく千と千尋の『カオナシ』に似ています。




一般に、どのような種類であっても、蛾というものは蝶とは違い、幽玄で霊的な美しさがあり、人の心を見透かすような光をたたえた複眼を持っています。メンガタスズメの目は特に巨大で、その典型といえましょう。~つづく

 



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