
2025年3月 10日に兵庫県立淡路景観園芸学校修了式が当校多目的ホールで行われました。その後、研究科修了生5人が藤原研究科科長を囲んで研究科で過ごした2 年間を振り返って思い出を語り合いました。
藤原研究科長:修了おめでとうございます。2年間の思い出、この学校での学び、淡路での生活、高度専門職業人としてどのようなことをやりたいか、研究科を目指した理由と学んでどうだったかなどを聞かせてください。まずは、研究科を目指した理由と学んでどうだったかについて教えてもらえればと思っています。
A さん:台湾では造園会社で働いていたが能力が足りないと思ったことと、樹木医の研修を受けて興味を持ち日本で樹木医になりたいと思って調べているときにこの学校を知って学んでみたいと思ったから。2年間の学びは楽しかった。自分は樹木だけに注目していたが、環境全体と人間との関係も大事だと思うようになった。
B さん:環境とは異なる分野の仕事をしていたが、環境に直接的にかかわる仕事がしたいと思って次のステップを探していた。そんな時、ボランティアで樹木に触れる機会があり、樹木医に興味を持ち、その資格を取得できる本校を知った。将来、自分がどのような職に就きたいのか、よくわからなかったため、幅広く緑について学べるこの学校は自分に適していると思った。楽しい2年間だったが、課題に追われた時はきついなと思うこともあった。しかし、たくさんのことが身についたし、この2年間の学びを通して、環境アセスメント的な仕事に就きたいと思うようになった。実のある2年間だった。
C さん:もともと造園に興味があり学部でも造園系の研究室に在籍していたが、もっと実践的な学びが欲しいと思い大学院を探していたら、ここの環境が最適だった。フィールドに出て自分の体を動かしたり地域の人と交流したり、実践していくことが楽しく、充実した学びが得られた。
D さん:大学はランドスケープ専攻で卒業論文のテーマは園芸療法に関連した福祉施設のデザインだった。資料を調べる過程でここを知り入学を決めた。この2年間で園芸療法以外にも市民と緑地の関係などを深く理解できた。中国に帰ったら公園管理などでここでの知識を活かしたい。
E さん:大学は建築系だったが、建物の課題を考えるうえで樹木について知る必要があったのでここで学ぶことにした。最初は造園系の企業に就職するつもりはなく、緑もわかる建築の人になろうとしたが、ここで学ぶうちに建築もわかる造園の人になりたいと思い造園施工会社に就職した。将来は独立して自分で庭などを設計したいと思う。
藤原研究科長:全寮制の暮らしも含めて淡路島での生活、地域でのかかわりなど感想を教えてください。
E さん:コンペに挑戦したが、寮生活なので学生同士お互い時間を気にせず話し合いができ、グループワーク的なことをするには生活が近く最適だった。スタジオや図書館も大いに使った。
B さん:私もここの施設を使い倒したほう、施設は24時間使えるので、(実践演習などで)時間を気にせず、一気に進められてよかった。また、課題などで煮詰まったとき自然が近いのが気分転換になってありがたかった。この1年は鳥の観察にはまっていたが鳥もたくさんいるので観察するフィールドとしても最高だった。これから就職するとオフィス街なのでストレス解消をどうしようか心配になる。
A さん:私は街なかが苦手なので、植物が多く人間が少ないここの環境は良かった。就職してから街なかにいるようになるが、どうしようか心配になる。
C さん:私も(実践演習などで)煮詰まったら散歩に出ていた。ずっと研究室に籠っていると気が滅入ることもあるが、芝生に座って作業するなどできたのもよかった。
D さん:ストレスを感じたら屋上庭園に行った。園芸療法っぽい環境があるので良かった。
C さん:学校の周囲には店舗がないが、運転が好きなので、車で買い物に行くのもストレス解消に役立った。最高の環境だった。
藤原研究科長:これからは環境を創る側になるが将来なにを目指していくか、ここでの学びをどう活かしたいですか。
A さん:造園会社に就職するが、日本だけでなく海外での緑地管理をどうやるかも見てみたい。
E さん:この学校で意外とよかったのは、プロジェクトを実施するうえでの社会人の方、実践演習での地域の方、講師で来られる卒業生など大人と関わる機会が多かったこと。懇親会などで自己紹介する機会が多く、それを繰り返すなかでだんだん自分についての考えなども整理できて就活でも十分活かすことができた。
B さん:今度就職する会社が環境アセス以外にも幅広くまちづくりなどもやっているので、違う分野の人と(仕事上で)どうやって擦り合わせるか、ほかの分野の人の考え方などを知る必要があると思う。その点、ここで造園コンペをやったときに、領域の違う学生がどういったところに着目するのかなどを同級生から学べたのが良かった。また、この2年間で植物の同定をかなりやったので、この技術を足掛かりにもっと高めていきたい。
C さん:私は就職後もこの2年間、特に実践演習で取り組んだようなことを、そのまま社会人になってもやることになりそう。緑関係の知識、コミュニケーションスキルなど、ここで身につけたものも活かしながら、更に先を目指して今後も高めていきたい。
D さん:ここで学んだことを活かして一番やりたいのは都市農園。農業に関することが大好きなのでできる確率が高いと思う。次に中国の学生たちの心理的な問題が大きくなっているので園芸療法を導入して緩和できるのではと思う。
藤原研究科長:学校として今後こうしたらよいと思うことなどあれば聞かせてください。
B さん:いろんな分野の人がいたからこそ楽しかったし視野が広がった。(緑環境と)全然関係ないいろんな分野の人に来てもらいたい。
D さん:留学生にとっては、国際交流推進員によって日本語の練習ができたのがよかった。おかげで日本語の会話もコミュニケーション能力も高まった。
藤原研究科長:2年間お疲れさまでした。皆さんの今後の活躍を楽しみにしています。大いに羽ばたいてください!
出席者:藤原研究科長、研究科(駒ヶ嶺光、畑田菜緒、山崎快彦、梁震、林庭綺)