公園や学校等の緑空間、博物館等の社会教育施設における環境学習関連の教材開発に取り組んでいます。ものやプログラムを作って終わりではなく、現場での実践と評価検証活動を通じてその有効性を検討します。ここではそういった環境学習関連のコンテンツの1つとして「ビオトープ・シミュレーション・ゲーム(http://biotop.hitohaku.jp/)」を紹介したいと思います。

このゲームは、パソコン上で学校ビオトープをデザインすると、そのビオトープに出現しうる生物が標記される、といったシミュレーションゲームです。

(↑ビオトープ・シミュレーション・ゲームのトップ画面)


ゲームの概要としては、広域マップの中から「里の学校」または「街中の学校」という学校ビオトープの設置地区を選択するシーンから始まり、次いで「校舎に囲われた位置」または「公園やプールに隣接する位置」を選択します。

(↑左:広域マップ画面)
(↑右:学校敷地内の選択画面)


ここで子ども達はビオトープをつくる位置の重要性に気づくでしょう。次に「設計画面」に入り、池や樹木などのアイテムを画面上に配置してビオトープを完成させます。樹林地はどれくらい作ればいいか、チョウの食草は何か、などを意識しながら配置していくことで、生物と環境との関係を学んでいきます。最後に、最大で20種以上の生物が出現する生物シミュレーションの段階に入ります。そこで子ども達は

“なぜ私のビオトープでは少しの生物しか出現しなかったのか”
“なぜ私のビオトープでは○○トンボが出現したのか”

といった問題意識を持つようになり、相互の議論を経て、それが配置の問題であることや、ビオトープ内のデザインの有り様によるものであることに気づいていきます。

 

(↑シミュレーション画面)


本シミュレーターは2003年より運用を開始したネット上で無料使用できる学校ビオトープ製作シミュレーションソフトであり、これまで年平均4万件を超えるアクセスを頂いております。特にゲーミングの手法を環境学習に導入することの意義は、以下の点にあると考えています。

①自然や環境にさほど興味のない子ども達に、ゲームというところから興味を引き出す効果をもたらす
②複雑化した自然環境の仕組みをゲームであればポイントを押さえて解説ができる
③屋外での体験学習であれば“昆虫をその日に捕獲できなかった”といった偶然性に影響を受ける部分があるが、ゲームであればその日の状況に影響を受けることがない

このようにゲーミングの要素を取り入れた教材は多くの子ども達の学びや気づきを支援するツールとして有効と考えています。これからもより多くの方々に緑景観の魅力を伝えるべく、様々な教材やプログラムを提案していきたいと思います。

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