阿久根 瑞美
授業風景(車いす操作の演習)
私は、今年の3月に本校の園芸療法課程を修了し、兵庫県園芸療法士の資格を取ったばかり。4月からは、インストラクターとして働くことになりました。昨年、園芸療法課程に入学するまでは、看護師をしていました。私の授業は、園芸療法課程での医療、福祉、介護の基礎といった内容。園芸療法課程には、年齢、職業、さまざまな方が学んでいます。学生から学ぶことも多く、よい刺激を受けています。
園芸療法との出会い
看護師として、人の命をあずかる仕事という責任、緊張感、夜勤、多忙、ストレスを感じることが多い日々を過ごしていました。
そんな時、ハワイのフラダンスのイベントで首に飾る、レイ作り体験をしました。花や葉をラフィアという植物の葉を加工した紐で巻きつけていくのです。花や葉の形、触感や冷たさ、香り等、いつもとは違った花の楽しみ方や発見をしながら、夢中で作品を作っていました。完成した後、参加していた方々とお互いに作品を見せ合い、写真を撮ったり。レイを自分の首に飾った時に照れくさいような、でも、とても幸せな気分になったのです。花に癒されている自分に気がつきました。それ以来、植物が人を癒すことについて学んでみたい。そして、看護師の資格を生かせないか、また、関心のある野菜の栽培も学ぶことができないかと考えていました。
そんな時に、『園芸療法』を知ったのです。まさに私が求めていたものだと、入学を決めました。
レイを参考にした花の首飾りのプログラム(対象者の作品)
園芸療法と五感
園芸療法では、園芸活動を用いて対象となる方の可能性を引き出せるようなプログラムを考えます。
園芸療法の中でよく出てくる言葉に『五感』があります。植物を見る、嗅ぐ、触れる、聞く、味わうというひとの五感への刺激による効果、このような植物の持つ力が、私たちの健康に影響を与えてくれるのです。私がレイ作りを通して、花を見て、香りを嗅ぎながら、花や葉の触感や冷たさを感じたことは、五感を刺激することにつながり、ストレスの軽減につながったのです。
目を閉じて葉が風に揺れる音に耳を澄ませたり、いろいろな植物の葉の触感を楽しんでみたり、何か発見があるかもしれません。プランターで野菜やハーブを育ててみたり。ハーブはお茶や料理に利用するだけでなく、ポプリにしたり、リースにしたり、お風呂や足浴、手浴に利用して楽しむこともできます。
皆さんもこの『五感』を刺激する効果を考えて植物に親しんでみてはいかがでしょう?
(左)ラムズイヤー:子羊の耳、フワフワした触感 (中央)ハーブを入れた手浴 (右)ハーブティー