数年前にインドネシア共和国アチェ州を訪問する機会に恵まれました.ここでは訪問の主目的である研究についてではなく,私が見聞きしたアチェの人々の暮らしを紹介したいと思います.

 

インドネシア共和国の人口は2億7,000万人で,中華人民共和国,インド共和国,アメリカ合衆国に次いで世界第4位です.国民の9割近くがイスラム教の信者で,イスラム教徒の人口は国別では世界最多です.インドネシア共和国にはジャカルタ首都特別州と4の特別州,29の州が設置されており,今回紹介するアチェ州はスマトラ島北端に位置しています.アチェ州はイスラム教徒が特に多く,州の人口の97%以上がイスラム教徒です.アチェ州では自由アチェ運動がインドネシア共和国からの独立を要求し,1976年から内戦状態にありました.2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震による津波でアチェ州が大きな被害を受けたため休戦し,2005年に政府との間で和平協定が結ばれました.アチェ州では,インドネシア共和国で唯一イスラム法に基づく州条例を制定する自治権が認められており,飲酒,賭博,売春などが禁止されています.(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/インドネシア)

 

大通り
モスク


アチェ州は津波による被害が大きかったためか,街並みを美しく維持することに十分な予算を充てることができないように見えました.大通りにはゴミのポイ捨てやコンクリートが剥がれている場所などが目に入ることが多く,街並みは美しいとは言いがたかったです.一方で,モスクとその周辺は清掃が常に行き届いており,いつ見ても綺麗な状態に保たれていました.イスラム教徒の皆さんは毎日5回決まった時間にお祈りをされます.アチェの人々がモスクをとても大切にされていることを強く感じました.

 

バイク


車は左側通行で日本と同じですが,日本よりも交通ルールを守っていない人々が多いと感じました.3人乗りバイク,ヘルメット未着用のバイク,荷台に人を乗せている車,過積載の車などが数多く走っていました.あまりに日本と異なる様子に驚き,日本に留学経験があるインドネシア人に道路交通法について聞いてみたところ,道路交通法は日本とほとんど同じとのことでした.では何故,彼らは違反で捕まらないのかと聞いてみたところ,「彼らは好んで違反しているわけではなく,貧しくて車を買えないからバイク一台に家族全員が乗ったり,与えられた仕事をこなさなければ生活できないから過積載になったりしている.警察もそのような事情が分るから,逮捕せずに見逃している」とのことでした.日本人としては事故が怖いと思いつつ,少し羨ましい感じもしました.

 

アンコット
チャベ


サイドカーのタクシーである「チャベ」やワンボックスカーのバスである「アンコット」をよく見かけました.滞在中はインドネシア人の共同研究者が運転する車で移動することが多かったですが,研究を手伝ってくれたインドネシア人の学生に無理を言って,アンコットに乗せてもらいました.乗り心地はお世辞にも良いとは言えませんが,料金が安く,便数も多いので,使いこなせれば,とても便利だと思いました.付き合ってくれた学生さんによると,アンコットは治安が良くないので,日本人だけで乗るのはお勧めしないとのことでした.

 

カフェ
コーヒー


滞在期間は毎日3~4回カフェに連れて行かれました.インドネシア人の共同研究者の馴染みのカフェはいつでも繁盛していました.この店のスマトラコーヒーは絶品でした.これはスマトラ島産のコーヒー豆を独特な方式で淹れたものです.とても美味しかったので,スマトラ島産のコーヒー豆をお土産に買って帰りました.帰国後,ドリップ式で淹れてみたのですが,淹れ方か良くなかったのか,使った水が良くないのか,現地のように美味しくはならなかったです.

 

指輪
原石


今回の訪問で最も驚いたことの一つが,インドネシア人男性が宝石に夢中だったことです.街では多くの成人男性が指輪をされていました.夜,街をぶらぶらしていると,あちらこちらで怪しい人集りが目に入りました.その人集りに近づいてみると,大勢の男性が宝石の原石の目利きをしているところでした.気に入った原石を購入して,その場で研磨してもらうとのことです.日本ではまず見ない光景に,文化・風俗・習慣の多様性を強く感じました.

 

 

 



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