景観づくりの最終段階は計画したものを現場で形にすることだ。学生にとって現場の体験が多ければ多いほど、景観づくりの腕を磨くことになる。こういった考えをもって今年は「淡路花博20周年記念花みどりフェア」に参加し、学生とともにデモンストレーションガーデンつくった。

 ガーデンづくりは淡路島内で拡大する放置竹林に着目し、山から切り採った竹を主な材料とした。ガーデンの中央には、冬至10 時の太陽の位置に向かって、海への景観軸を竹の風車を用いて誘導し、陸と海を景観的につなげていくと同時に、風車の動きによって光と影の変化や空気流動の”見える化”を工夫した。また、淡路島生産の花や瓦を用い、加えて学生たちが海岸から拾ってきたシーグラスや貝殻など地域特有の材料を活用し、特徴のあるガーデンをつくりだした。

 

 このガーデンづくりは竹素材集めから施工の仕上げまでほとんど手作業で、現場で問題解決のアイディアを出し合いながら進んできた。準備の段階ではまず竹材をどう細かく切るのか、また風車の葉を細い形にした場合に風で回るのか、さらに莫大な時間をかけて海岸部で拾い集めたシーグラスは想像よりかなり量が少なく、着工日に間に合うのか、などの様々な問題に直面にした。施工の段階では仕入れた植物の色が注文時とは違ったこと、設置した数か所の竹風車が強風に耐えられず飛ばされたこと、竣工後は一部の観光客がガーデンからかわいい貝殻を持ち帰っていくこと、写真撮影で花壇へ勝手に踏み込むことなど、工期の短い中での即時的な対応と展示期間中のメンテナンスに日常的な補修が必要になるといった一連の体験を通して、学生たちは問題解決を経験し勉強につなげていった。

 ガーデン竣工後の展示は順調に進んだ。SNSに挙げられた数多くの来訪者からの写真やメッセージ、特に子供のファッションショーの舞台として活用されたことは「これをつくってよかったな」と達成感を得られた。複数の学生たちも感想を寄せてきた。「手先で覚えた今回のものづくりは貴重な体験だ」、「手づくりで苦戦をしたことは結果的に楽しいことにつながった」、「手づくりが楽しい」…などなど、これは体を動かした体験が座学で学んだものを容易に自分のものに置き換え、その自然浸透ができたのではないかと考えられた。また、ある学生は「会期中足を運ぶ度、ガーデンで写真を撮り、瓦や竹をじっと見つめる人、花に触る人、風車について話かけてくれる人を目のあたりにし、作品づくり・空間づくりによって人とのつながりを感じ、それに関われたことに私の幸せを感じました」とメッセージを残した。よかった。学生の成長が一教員にとって何よりの褒美だ。

手づくりは成長につながる、今後もまた一緒に手づくりしよう。

ガーデンの動画をご覧ください↓

https://youtu.be/Hs_3qPxvUNU

 


 

 

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