山本 聡

春になると日本全国でお花見と称した宴会が催される。宴会が先なのか花見が先なのかはさておいて、日本人の花見好きは多くの方に認めて頂けるだろう。

花見と聞くと多くの方は、ソメイヨシノを思い浮かべるのではないだろうか。実際に、気象庁の開花予測で用いられる桜は主としてソメイヨシノである。しかし、日本気象協会では、沖縄や北海道の一部の開花予想として、カンヒザクラやエゾヤマザクラも用いている様である。
桜の花見の対象となる主な種を思い起こすと、南は沖縄のカンヒザクラ(ヒカンザクラ)に始まり、四国や本州ではヤマザクラやソメイヨシノなどが思い浮かぶ。中には、伊豆のカワヅザクラ(河津桜)の様に早咲きで、地域の風物詩となっているものもある。東北地方や北海道でもその地域によって独特の桜類が存在する。

カワヅザクラによる修景

ここで里山に生育している桜を例にとると、本校がある淡路島では代表的な種としてヤマザクラがあげられる。これが東北地方に行くと、オオヤマザクラが主となる。オオヤマザクラはヤマザクラに比べて花が少し大きく花の色も少しピンクが濃い。この様なオオヤマザクラが群生する里山は、花の時期には薄ピンク色に染まり、本校近辺の里山とはまた異なった雰囲気の景観となる。すなわち、その地域に存在する桜の種によって地域の景観そのものが独特のものとして形成されると言える。

淡路島の里山景観

このように地域独特の景観を存続させるためにも地域の植生の保全が重要なのである。

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