コケを育てて楽しもう

 近年、コケの栽培がちょっとしたブームになっています。コケは世界中に見られ、約2万種あるといわれています。日本には1800種ほどあります。生育場所は、森の中、渓流沿いなど湿度が多い所でよく見られますが、乾燥に耐える種類もあります。土や岩、屋根の上、コンクリート、朽木、樹皮など色々な場所で見られます。日本には日本庭園や盆栽という素晴らしい文化があり、コケは切り離せない存在です。しかし、コケだけを育てるのは意外と難しいものです。

 コケは図のような形態をしており、非維管束植物です。したがって根のようなものは体を支えるだけで、水を吸い上げたりはしません。水分は葉から直接吸収されます。そのため空中の湿度が重要で、まず、湿度を保つ工夫が必要です。そのために、ガラス容器にコケを入れ栽培するコケテラリウムに人気があります。

 淡路景観園芸学校、兵庫県立大学大学院では2018年度よりコケテラリウム作成の授業を行っています。入門程度の簡単なものですが、持参したビンに、学校で用意したコケ数種類をデザインして配置し、好きなフギュアなども入れてもOKです。その後、自室で観察するといった内容です。

 管理は霧吹きですが、ビンに蓋があれば頻繁にする必要もありません。数か月手元に置いて眺めながらコケの可愛さ難しさなども実感できると思います。

 ここ数年、授業の様子を見ていますと、学生さんはみんな楽しそうに作っています。コケテラリウムは小さなランドスケープを楽しめるアイテムですね。


 

Mosslight 植物を育てるインテリア

 コケも植物ですから、もちろん光合成をおこなっており、いくら暗くてじめじめしたところが好きだといっても全く光がなければ育ちません。しかし、屋外の強い太陽光線は必要なく、室内の人工照明でも育てることができます。

 ここで、考案されたMosslightについてご紹介します。

 Mosslightは、植物育成ライト付きのガラス容器でコケや植物を栽培し、維持管理にも手間がかからず、室内空間で清潔な状態で植物の成長過程や小さな自然を楽しめる新しいアイテムです。
 西宮市在住の照明作家内野敦明氏(㈱イースプランニング)が考案し、近年、海外からの問い合わせも多く、注目のインテリアグリーンです。

現在、コケ人気は高まっていますが、Mosslightはコケを栽培するのに最適の環境を作り、コケの魅力を引き出せる容器栽培です。照明の強さは4段階に調整でき、コケ以外の観葉植物やミニ盆栽なども栽培することができ、最近はラン栽培にも注目されており、東京ドームの世界洋ラン展にも出品されています。

 淡路景観園芸学校、兵庫県立大学大学院では2021年に淡路島で開催された「淡路花博20周年記念花みどりフェア」にこのMosslightの展示会を、作者の内野氏とコラボして開催しました。

その際、開催前の2020年12月に学生達で20個のMosslightを制作しました。


 

それから4か月が過ぎ、コケも程よく成長し、一緒に植えた樹木の新芽が吹いたり、花が咲いたり、この小さな空間で少しずつですが自然の営みを楽しむことができ、展示会を開催することができました。(2021年5月と9~10月に2回)

 緑を育てることが難しい環境や管理ができないところでもこのような技術を使って緑を身近に感じてもらうことができることを学生は学べたと思います。

 

 

 

 


展示の様子


 

 

コケの種類別に太めの試験管にテラリウムしてみました。
手元照明代わりにも使えます

 

 

 


 

 

 

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