今回は何年か前に行った,森のようちえんなどドイツの子ども環境について書いてみたいと思います。まずこちらはドイツのハーブルク森のようちえんの様子です。
森のようちえんとは,森そのものが教育や子育ての場になっている幼稚園(森のようちえん全国ネットワーク連盟ホームページでは,自然体験活動を基軸にした子育て・保育,乳児・幼少期教育の総称とされます)で,園舎は基本的に存在せず,従って毎日が野外活動であり,自然を活用する術を子どもたちは主体的な遊びの中で身につけていきます。また,他者と協力し合って課題を克服するといった社会性などの多くの力も身につきます。滑り台やブランコなどの準備された遊具はありませんが,幼児の成長にとって必要なものはすべて揃っている,それが森のようちえんです。
一見,森の中に幼児を放つことはリスクが大きいように思われますが,子どもたちは暗闇には決して近づかないし,斜面では重心を下げておそるおそる登っていきます。「小さな怪我はたくさんあるが,その積み重ねで大きな事故を防ぐことができる」「自然の中で子どもは基本的に慎重である」,という認識を大人が持つのも大切なことでしょう。ちなみに,このような環境の中で育った子どもたちは,「乱暴性がなくなる」「友達のいうことを聞き入れるようになる」「考え方がおおらかになる」などの変化があるという保育士の話が印象的でした。
また,自然幼稚園の園庭環境もユニークで,多くの幼稚園で起伏のある地形や多様な植栽を基調とした園庭が整えられています。また生態学や地理学を学んだ者が保育士として活躍している園も多いことから,園庭管理もそこで行われる環境学習プログラムも充実しています。子どもたちはというと,遊具中心の園庭だと運動性が強く促進されるが,みどり中心の園庭だと自然物をどのように使って遊ぶかを考えるため創造性が強く促進されるそう。結果,色んな遊びを考える子,木登りが上手な子,虫を触ることができる子など,個性が際立ちます。このようにドイツにおける幼児の生育環境は自然にあふれ魅力的な教育や子育て活動が展開されていました。
