今回は公園緑地でのユニバーサルデザイン(以下、UD)の実例を見ていこうと思います。まずは国営公園の事例。国営公園は国が整備していている公園ですので、様々な取り組みが積極的に行われてきました。

 

写真1. 国営海の中道海浜公園

写真1は福岡にある国営海の中道海浜公園です。ここはバリアフリー法が施行された2006年直後からユニバーサルデザインに関する専門的な委員会を設置し、その推進を図ってきました。活動は10年間継続し、法的義務化がなされている施設整備はもとより、それ以外の情報開示や人的支援まで幅広い取り組みがなされてきました。素晴らしいのは、その取り組みが障がいのある利用者さんの増加に結びついている点で、当初からするとなんとその数が1.8倍に。ハードとソフトが兼ね備わると利用者増につながることが示されている良い事例です。

 

写真2. 伊勢志摩国立公園 横山展望台

最近ではバリアフリー法の網がかかっていない環境省管轄の国立公園でもUDの取り組みが行われるようになってきました。写真2は伊勢志摩国立公園の横山展望台。以前は階段でしか展望スペースには行けずでしたが、めでたくスロープができました。素晴らしいのは、スロープが階段の補助ではないところ。スロープを使うと景色を眺めながら登ることができるので、ほとんどの方が階段ではなく、スロープを使っておられます。地元の観光UDに関わるNPOと協働しているところも素晴らしいです。

 

写真3. 小柴自然公園

いわゆるインクルーシブと冠のついた公園に関する取り組みも以前のような遊具を置いただけ・・といったものから進化してきた様子があります。写真3は横浜の小柴自然公園。国交省のモデル公園のひとつですが、傾斜地の高低差をうまく使って遊具のアクセス性を高め、滑り台などもその難易度に差がつけられています。何よりも素晴らしいのは実際の利用者さんが多いところ。たまたまかもしれませんが、私は2時間程度しかいませんでしたが、複数の障がいをもたれている利用者さんが訪問されていました。

 

写真4. 京田辺クロスパーク

写真4は京田辺クロスパーク。ここは4月にオープンしたばかりですが、公園のなかに農福連携の取り組みを内包しています。本格的な運用はこれからですが、障がい者就労の拠点化を目指しているので、実現すればまさに社会的包摂の具現化が期待できます。

公園UDもこれからは多様性の時代ですね。今後がさらに楽しみになってきました。

 



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