2017年のASLA PROFRSSIONAL AWARDS受賞作品の中にシカゴ植物園のラーニングキャンパスがあります。多感覚な経験を得ることが出来る起伏に富んだ地形や植栽、園芸教室やデザイン演習、料理教室やヨガ体験などの緑と健康に関する多様なプログラム、雨水管理を学ぶレインガーデンなどといった要素を有していることが特徴です。特に環境学習や健康活動が展開されているラーニングセンターは、建物自体も環境学習の教材として機能しており、例えば建物内の光環境の実に90%が自然光を採用していたり、建築資材の95%がリサイクル可能であったり、ランドスケープも地域に自生する植物種を用いてデザインがなされていたりします。デザインからマネジメントに至る様々なタームでサスティナビリティが追及されていることがわかります。


自然光を多く取り入れた教室での体験学習(シカゴ植物園のラーニングセンター)


同様に、サンフランシスコのゴールデンゲートパーク内にあるカリフォルニア科学アカデミー(熱帯植物園、水族館、博物館が一体となった科学館)の建物もサスティナビリティな要素を持っています。具体的には屋上緑化のほぼ100%と周辺環境の80%が自生植物で構成されていること、屋上に降り注いだ余分な雨水の100%は地下に排水、浸透し、市内の雨水システムに負荷をかけないこと、CO2センサーや気流観測などのモニタリング装置を備えていることなどが挙げられます。材料の選択、リサイクルのあり方、自然光に対する空間の配置、自然換気、水使用の節約、雨水の回収や利用、エネルギー生産。これらの持続可能性に資する建築設計上の課題に対して、自然環境をテーマにした学習施設がモデル的に取り組むことは日本でも非常に重要なことのように思います。

屋上の天窓は太陽光を植物園に届ける一方、室内温度が上昇すると自動的に開いて換気される(カリフォルニア科学アカデミー)


ところで、これらの施設はともに「LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)」と呼ばれる環境性能評価のプラチナムを受賞しています。LEEDは「非営利団体USGBCが開発し、GBCIが運用を行っている、ビルト・エンバイロメント(建築や都市の環境)の環境性能評価システム(https://www.gbj.or.jp/leed/about_leed/)」とされ、世界レベルで活用されているものです。評価システムには、Building Design and Construction(建築設計および施工)、Interior Design and Construction(インテリアデザインおよび施工)、Building Operation and Maintenance(建築物の管理運営)、Neighborhood Development(エリア開発)、HOMES(住宅の設計および施工)の5つがあり、それぞれについて水の使用量や再生可能エネルギー設備の配置などの評価項目が設定されています。評価項目はポイント制で必須項目と選択項目の合計で4段階の認証(標準、シルバー、ゴールド、プラチナ)が付与されます。先のカリフォルニア科学アカデミーは2008年と2011年に2度、プラチナムを受賞しています。

カリフォルニア科学アカデミーのプラチナメダル


環境性能評価システム「SITES」

同様に、ランドスケープ分野にも環境性能を評価するシステムは存在します。「SITES」です。SITES(Sustainable SITES Initiative)は米国の登録ランドスケープアーキテクト協会(ASLA)らが中心となって設計したシステムで、後に示す表の項目について評価がなされ、LEEDと同様に4段階の認証が付与されます。2015年から世界を対象に審査・認証が可能になり、日本でも深大寺ガーデンなどで取得事例が見られます。

SITESとLEEDのダブルプラチナ認定を果たした深大寺ガーデン。株式会社グリーン・ワイズによる設計。過度な除草や手間をあえてかけない草地環境が心地よい。


本システムで興味深いのは、評価項目の中で「健康とウェルビーイング」や「教育」、さらには小項目の「地域経済への貢献」など、主に運営段階における取り組みが非常に多様であることが挙げられます。サスティナブルなランドスケープとするためにマネジメントのあり方を計画・設計段階から検討することが大事であることがわかります。また「健康とウェルビーイング」が10項目中3番目に配点が高いことも特徴で、具体的には「精神的回復・身体的活動、社会的つながり」のサポートや「地域の文化的・歴史的な要素を保全・維持すること」、「食料生産の場(例えばコミュニティガーデンなど)を有すること」など、地域らしさやコミュニティの強化といった社会的な健康にまで言及しています。人間の幸福にランドスケープは大いに貢献できることが、このシートから読み取ることが出来ます。


SITES V2の評価項目の概要


今後、建築やランドスケープの計画設計、施工、マネジメントに取り組む際に、これらの認証を得ることに越したことはありませんが、無理に得なくともこのような指標を意識しながらデザインやマネジメントに取り組むことで十分サスティナブルな社会に近づくと思われます。以降に関連するURLを記載するので、ぜひ目を通してもらってデザインやマネジメントに活かしていただきたいと思います。

 

■LEEDおよびSITES関連サイト

https://www.gbj.or.jp/leed/(一般社団法人グリーンビルディングジャパン)

https://www.gbci.org/(Green Business Certification Inc.)

 


 

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